独特の甲高い声が、グラウンドに響き渡る。3年目の羽月隆太郎が鯉のムードメーカーだ。練習中は誰よりも声を出し、試合出場中も、控えでも、常に声を出し続けている場面が目立つ。ときには体を張った一発ギャグを披露。たとえすべっても、心が折れない強心臓を持つ。
2年目の昨季、一軍デビューを遂げた。プロ初出場した8月7日の
阪神戦(マツダ
広島)では、いきなり2安打3打点と大活躍。お立ち台では両手でマイクを握り「試合前から、試合も、今も、自分はマツダスタジアムで試合をして、この場に立っているというのが考えられなくて……」と感慨深げに話した。そういう純朴な一面も、チームメート、ファンから愛される要因の一つだろう。
167センチ、67キロと小柄だが、存在感は抜群だ。今季は開幕一軍こそ逃したものの、4月9日に一軍昇格を果たし、5月5日時点で17試合に出場し、打率.319をマーク。内野が本職ながら、今季は外野にも挑戦し、ユーティリティーぶりを発揮。先発にも名を連ねるなど、出場機会を徐々に増やしてきている。
昨オフの契約更改では、 200万円の増額を勝ち取った(金額は推定)。成績は出場17試合で、打率.182、0本塁打、4打点。「まさかそんなに上がると思っていなかった。(球団から)言われてないですけど、僕自身は声の方が評価が大きかったのかなと思っています」と話していた。しかし今季は献身的なプレーや小技で相手を攪乱(かくらん)するなど、プレーでアピールが続いている。チームに欠かせない存在となりつつある。
写真=BBM