負傷離脱の悔しさを胸に、シーズン最後まで走り抜ける。
T-岡田は8月21日に死球を受けた影響もあり、翌22日は試合途中で病院に向かった。右太もも裏の軽度筋損傷と診断された23日に出場選手登録を抹消。シーズン途中に主砲を欠くチームは、上位争いの波に乗れずにいた。
大阪・舞洲でのリハビリ生活で必死に汗をかき、9月9日
ロッテ戦(ほっと神戸)から緊急昇格。7年前に残した「忘れ物」を取りに行く決意がある。
2014年10月2日の
ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)、打球を見ずに、一塁手のT―岡田はヒザから崩れ落ちた。壮絶な首位争いを繰り広げ、勝てば優勝のチャンスが近づく一戦。延長10回、七番手・
比嘉幹貴が
松田宣浩に左中間を破られると、力が入らなかった。三塁側ベンチに引き揚げたが、重い腰が上がらない。同学年の安達と顔をバスタオルで覆い、悔しさをかみ殺した。
あれから7年。ベテランの域に入った。「アカンかったら、また練習するしかない」と毎朝の早出練習。「体がボロボロになるまでやっていきたい。まだまだこんなもんじゃない」。プロ16年目。心に余裕も生まれてきた。
「あのとき(14年)は正直、自分のことで精いっぱい。精神的にも体力的にもバテバテ。僕個人的には14年より今年のほうが……」
苦い記憶を、歓喜に塗り替えて見せる。
9月28日のロッテ戦(ZOZOマリン)では
石川歩から右翼席へ逆転の14号3ラン。NPB史上111人目の通算200号は、球団では1997年の
藤井康雄以来、史上7人目。ファンの喜ぶ顔のため、まだまだ積み重ねる。
写真=BBM