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部下にしたくないワースト3は「自信過剰」「消極的」「忍耐力なし」だそうな。実は3つ目が一番困る。反対に「忍耐力あり」こそプロでも成功

 

文=大内隆雄



 話題は少し古いが、2月23日付の各紙には、明治安田生命保険が行った新社会人対象の「理想の上司」は、どんな人かのアンケート調査の結果が載っていた。女性は俳優の天海祐希が7年連続のトップ。男性では元プロテニス選手でタレントの松岡修造が初めて1位に。

 面白かったのは、新入社員を迎える上司たちに部下にしたくない新入社員を尋ねるアンケートも行っていることで、ワースト3が「自信過剰」「消極的」「忍耐力がない」だった。かつて、部下を動かしていた立場から言わせてもらうと、上の2つは、実は何とでもなる欠点。それこそ使いようである。しかし、3番目の「忍耐力がない」、こればかりはどうにもならない。忍耐力を必要としない仕事などあるハズがないのだから、3番目のタイプは、まず尻をたたくだけムダ。その反対の「忍耐力がある」タイプは、上司にとって、これほどありがたい部下もない。

 プロ野球の世界でも、忍耐力のある選手、監督、経営者は、まず成功している。猛練習をまったく苦にしなかった王貞治(巨人)。少々のケガをものともしなかった衣笠祥雄(広島)、金本知憲(広島、阪神)。延長28回を投げ抜いた野口二郎(大洋)と西沢道夫(名古屋)。覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで再逮捕された清原和博容疑者になかったものが、この「忍耐力」だった。近鉄の監督になってからの西本幸雄監督も耐えに耐えて、負け犬チームを優勝させた。その西本監督以上に耐えたのが近鉄の佐伯勇オーナー。50年に球団を作って以来、初V(79年)まで、30年間待った。「きんてつ」ではなく「ちかてつ」と揶揄されるほどの超低迷チームを「ワシのチームや」と手離さなかった。

 さて、筆者の「耐える男」のイチ押しは佐藤義則(阪急・オリックス、写真は最多勝の85年)。77年に新人王となった好投手も、5年目には腰を痛めて登板なし。しかも支配下選手登録を外される屈辱。そこからはい上がっての最多勝、ノーヒットノーラン(95年)はお見事!の一語。5球団で投手コーチを務め(現ソフトバンク)、選手に慕われるのもムベなるかな、だ。
おんりい・いえすたでい

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過去の写真から野球の歴史を振り返る読み物。

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