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75年の長嶋監督を超えてしまった巨人・高橋監督だが、あのミスターの地獄の日々に比べればまだまだ。長嶋監督の苦悩とは……

 

 ソール・ベローの『その日をつかめ』(集英社文庫)を久しぶりに読み返したが、本文よりも、訳者・宮本陽吉の解説の次の個所が目に留まった。「ベローの好きな言葉に『一人の愚者が水に石を投げ込むと、十人の賢者もそれを見つけることはできない』というイディッシュ語(ドイツ語を基礎に、スラブ語の要素が加わったユダヤ人が使用する言語)の諺(ことわざ)がある」。

 大型連敗中の巨人を評した人たちの、自分でも説明不足を感じながらのコメントを思い出したからである。宮本は「一人の作家が作品を書くと、その作品の価値を判定し、分析し、解説するために十人の批評家や大学教授が水に飛び込む。そうなると賢者も愚者になりさがるというわけだ」とその諺でベローが言いたかったことを敷衍(ふえん)してくれた。巨人と巨人を評した人を愚者と言うつもりはないが、あれだけ負け続けると、両者ともに思考停止状態に陥ってしまうのは確かだと思う。どうしたら勝てるかなど、誰にも分かるハズがないではないか。だから長い連敗にハマると厄介なのだ。

 高橋巨人に破られるまで、1975年の長嶋巨人が11連敗という巨人ワースト記録を持っていたのだが、思い出すと、あのときも・・・

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