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「北銀野球部写真展」が好評開催中会

東京ドームの熱気がある空間

北信越の強豪チームの思い出を風化させないために

 7月12日に開幕する第84回都市対抗野球大会を前に、東京ドームの熱気が伝わってくる空間がある。社会人野球の聖地から徒歩約15分。「北銀野球部写真展」が、北陸銀行白山支店(文京区)で開催されている。

 北陸銀行野球部(富山市)は1953年に創部。廃部する99 年までに都市対抗に5回、日本選手権に8回出場した北信越の強豪企業チームだった。00年には「北銀クラブ」と形態を変えて設立。同年の都市対抗に名乗りを上げたのも束の間、わずか4年で廃部。その後、富山県の有志と野球部OBが募って、04年に富山ベースボールクラブを立ち上げた。全日本クラブ選手権には4回出場し、「北銀」の流れを継承している。

 今回の写真展を企画したのは、同野球部OBで、初出場した05年のクラブ選手権で4強へと導いた、舘森誠前監督(白山支店・得意先課課長)である。11年7月に同支店に赴任。原付バイクに乗って日々営業している中で、感じることがあった。

「ウチの支店は、東京ドームのお膝元。かつて目指していた場所を毎日目にする。13年ぶりに出場した94年の1回戦(対JR四国)には東京地区の7支店に動員がかかり、取引先を含めて、三塁側から左中間まで(北銀カラーの)赤で染まったんです」

 舘森氏の現役時代は投手。東京転勤を機に当時スタンドで応援していた顧客と、都市対抗の話題で盛り上がることが多かった。廃部からすでに14年が経過。歴史を風化させないためにも、写真展の企画を思い立ったという。舘森氏は現在も富山ベースボールクラブの練習拠点である、北銀記念グラウンドへ向かった。クラブハウスに保管されていた写真やユニフォーム、「HG」と書かれた応援旗、アルバム、海外支店からの激励の色紙など約50点を運び込んだ。

 白山支店での展示は7月31日まで。6月には富山市内で野球部OB総会があり、8月以降も野球部OBが在籍している全国の支店で随時、開催することが決まっている。

 お得意先の来店者からは「懐かしい」との声が聞かれ、中には「もう一度、活動してほしい」と野球部復活待望論も出ている。舘森氏は言う。「8年間のクラブチームを通じて気付いたことですが、仕事をして社会に貢献し、野球で地域に貢献する。野球には、それだけの力があります」

 野球に限らず、昨今は企業チームの休廃部が相次ぐ。活動予算を捻出するのは厳しい。だが、東京ドームのスタンドとグラウンドが一体となる雰囲気が、お金では代えられない士気高揚と、社員教育に直結するのは間違いない。


▲北陸銀行白山支店では「北銀野球部写真展」が7月31日まで開催中。企画したのは得意先課課長の舘森氏[写真]。都市対抗野球の舞台・東京ドームのすぐ近くであり、観戦の前後に足を運んでみるのもいいだろう



(取材・文=岡本朋祐)
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