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東都大学新入生

「ポスト・今永昇太」へ名乗り!!駒大入学・上野翔太郎

 

東都二部からの巻き返しへ名門復活の切り札が入学


2月4日、上野は東京都世田谷区内の駒大合宿所に入寮。昨年9月のU-18ワールドカップでは18イニング無失点と国際舞台で力を発揮し、プロ入りしたエース・今永[DeNA]の後釜として期待される



 昨夏に急成長を遂げ、日の丸を背負った右腕が、東都の名門・駒大に加入する。中京大中京高のエース・上野翔太郎が2月4日、駒大野球部合宿所(東京都世田谷区)に入寮した。最速144キロのキレの良い直球とツーシーム、チェンジアップを武器に、昨夏の甲子園では3回戦に進出。大会後は侍ジャパン高校代表に選ばれ、U-18ワールドカップでは3試合(計18回)で自責点ゼロと好投して銀メダル獲得に貢献した。

 駒大は14年秋に13年ぶりの日本一となったが、昨秋に最下位となり、東洋大との一部二部入れ替え戦にも敗れて二部降格した。一部復帰を目指すチームにとって、実績十分の右腕は頼もしい存在だ。駒大・西村亮監督は「4年間で段階を踏んで成長してほしい」と期待している。

 昨年の春頃、上野の直球は、本人いわく「135キロが出るか出ないかで、打者の手元で垂れるような球質」だった。その時点で「プロへ行きたいが、自分のレベルはそこまで達していない」と、大学進学を決めていた。ところが、夏の愛知県大会準決勝・東邦高戦で、考えたとおりに体が動き、思いどおりの球がいく感覚を急につかんだ。捕手の伊藤寛士(法大進学)が「覚醒した」と驚くほど、球は打者の手元で伸びるようになった。

 それが夏の結果につながり、注目度も急上昇。いろいろな人から「プロ志望届は出さないのか」と聞かれたという。しかし、「自分は夏に急に出てきた選手。仮に志望届を出しても指名されるかどうか分からないし、もし、プロへ入ったとしてもこの調子が続くのか不安。大学でもっと自信をつけてからプロへ行きたい」と、大学進学の方針を変えなかった。

言葉とまなざしの力強さに前エースの姿を彷彿


「高校では日本一になるという目標が達成できなかった。それを大学で達成するために駒大へ来ました」。上野は真っすぐ前を向いて言った。

 昨夏、甲子園の土は持ち帰らなかった。「日本一を達成していないのに、『いい思い出だった』と土を持って帰りたくなかった」と、その理由を明かす。「その分、(大学で日本一になるという)思いは強いです」。

 駒大の新入生に、頼りになるキャッチャーがいる。関東一高出身の鈴木大智だ。中学時代は愛知西シニアでバッテリーを組んだ仲。「甲子園で会おう」と誓い合って別々の高校へ進学した2人が昨夏の甲子園で対戦し、話題となった。

「まさか大学で一緒になるとは思いませんでした。またバッテリーを組んで、大智といっしょに日本一になりたいですね」

 駒大には昨秋まで左腕・今永昇太(現DeNA)という大黒柱がいた。昨年末、上野が駒大の練習に参加したとき、自主トレ中の今永が来ていた。上野は、今永がブルペンで捕手を立たせたまま投げる球に「この球だからドラフト1位なんだ」と見入ったという。「自分も、今永さんのような駒大を背負う投手になりたいです」と、声を弾ませる。

 4年前の春。当時1年生だった今永は、リーグ戦デビューを果たした試合後「必ず日本一になり、『駒沢は強い』とまわりの人に思い知らせたい」と言った。そして、3年秋にエースとしてそれを実現した。上野の言葉とまなざしの力強さに、今永の姿が重なる。(取材・文=佐伯要)

PROFILE
うえの・しょうたろう●1997年6月30日生まれ。愛知県名古屋市出身。173cm 76kg。右投右打。弥富小1年から野球を始め、少年瑞穂を経て富士シャークに所属。萩山中では愛知西シニアに在籍。中京大中京高では1年夏からベンチ入りし、2年秋からエースで、3年夏の甲子園では(主将)3回戦進出。侍ジャパン高校代表としてU-18ワールドカップに出場し3試合を自責点ゼロに抑え、最優秀防御率に輝いた。
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