「島岡イズム」を継ぐ24時間指導の情熱

　37年の長きにわたって明大を率いた島岡吉郎元監督。「御大」と呼ばれた名伯楽は、高校時代は無名だった選手にも等しくチャンスを与えた。今春から母校を指揮する田中武宏監督と、指揮官をバックアップする戸塚俊美助監督も、島岡御大の下でチャンスをつかみ、その後の野球人生を切り開いた。

　田中監督は舞子高(兵庫)の3年夏には四番・中堅で県4強進出も一般入試組。戸塚助監督は明大中野高出身だが、本人いわく「3年夏は4回戦敗退のどこにでもいる選手でした」。甲子園の土を踏むことはできず、ともに、たたき上げである。田中監督は3年春に外野のポジションをつかむと、卒業後は日産自動車で都市対抗に8年連続出場(補強2回を含む)し、2度の優勝(うち1回は日本石油の補強選手)を経験している。戸塚助監督は田中監督の3学年後輩。2年秋から三塁に定着すると、卒業後は神戸製鋼で選手として2回、監督、コーチとして各1回都市対抗に出場した。

　田中監督は明大の1学年後輩で、日産自動車の臨時コーチ時代から親交があった善波達也前監督から請われ、昨年まで9年間コーチを務めた。その間は勤務先の大阪から上京し、基本的にリーグ戦開催日と、シーズン以外は週末と祝日を指導。善波前監督たっての願いで後任監督に就任すると・・・