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令和2年度夏季埼玉県高等学校野球大会

県立校・上尾高(埼玉)が向き合う現実と伝統の継承

 

埼玉県高野連は6月12日、今夏の甲子園出場をかけた「地方大会」の中止を受けて、県独自の「代替大会」の運営を発表した(7月21日抽選会、7イニング制、原則無観客試合)。8月8日から東西南北の4地区でブロック大会を行い、代表4校が22日、メットライフドームで準決勝に臨む(23日決勝)。北部地区の伝統校・上尾高は「心を込めて」夏に備える。
取材・文=岡本朋祐、写真=桜井ひとし

2010年から母校・上尾高を指揮する高野監督。全部員が心を込めて戦う伝統のスタイルを継承させ毎年、一体感のあるチームに仕上げてくる


「姿」と「形」残す。3年生に与えられた使命


 埼玉の県立高校は6月1日から分散登校・時差授業がスタートした。第1週は週1日、第2週は3日、第3週は4日と、段階的に学校生活が日常に戻った。だが、県教育委員会のガイドラインにより、部活動を行うことはできなかった。通常授業となった6月22日からようやく、練習が再開。春3度、夏4度の甲子園出場を誇る伝統校・上尾高は夏の代替大会へ向けて、再始動している。

 緊急事態宣言中の5月20日、夏の全国大会(甲子園)と地方大会の中止が決まった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月上旬から練習ができなかった。2010年から母校で指揮する高野和樹監督は、部員とアプリや、野球日誌を充実させるなどしてコミュニケーションを取ってきた。だが、夏の中止については「全員の目を見て、話をしたい」と、そのタイミングをじっと待っていた。

控え部員の行動で素顔が見える


 上尾高の伝統とは──。一言で説明するならば「心を込めた野球」だ。試合前、ウオーミングアップのランニングから、一糸乱れぬ歩調に圧倒される。シートノックでは1球に集中し、全員が意味のある声を出す。プレーボール後、内野スタンドへと目を向ければ、一体感ある大応援を展開。「控え選手の行動が、野球部のレベルである」(高野監督)と、教育が行き届いており、同校の部員は皆、目が澄んでいる。グラウンドの選手は、泥だらけになって白球を追う。

 目の肥えた地元ファンは、いつも一生懸命な上尾高に心を惹かれる。その雰囲気を生み出しているのが、高野監督の・・・

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