週刊ベースボールONLINE

森繁和の投手考察

今週の考察対象/杉内俊哉[巨人]

 

 読者のみなさん、アマチュアの投手の人に是非とも参考にしてほしい。それが巨人杉内俊哉の投球フォームだ。ソフトバンクからFAで移籍し、リーグが変わりながらもすでに6勝をマーク。投手としては、まさに「理想的」な投げ方だといえる。投手コーチにしてみれば、一番教えたい形だろう。

 50のフォームで、100の腕の振り。この力の入れ加減が素晴らしい。軽く体を動かして投げるような動作から、腕が遅れて出てきてフィニッシュだけ「ピュッ」と来る。これにより、打者は見た目以上にボールが速く感じるのだ。だから差し込まれ、凡退する。杉内の投げ方なら、肩やヒジへの負担も少ない。柔らかく、ゆっくり。そしてボールを離す瞬間だけ速い。ダルビッシュ(レンジャーズ)のような体格を誇る力投型とは対照的に、決して大きくはない体をうまく利用している。本来、投手というものは速い球を投げようと、どうしても上体の力に頼ってしまうところがある。杉内は直球が決して速いわけではないが、それを速く感じさせることでプロの世界でも十二分に通用する。アマチュアの投手に何より手本にしてほしいのは、この部分だ。

 実は杉内のことは、彼が鹿児島実時代から見ていた。ちょうど私が西武で投手コーチを務めていた98年、「あのカーブはおもしろい」とドラフトの候補に挙がった。結局、指名には至らず杉内は社会人(三菱重工長崎)に進むのだが、その社会人時代に腕の振りが格段に速くなった。その後、01年のドラフトでダイエー(現ソフトバンク)入団後の活躍ぶりは、いまさら記すこともないだろう。

 夏の甲子園でノーヒットノーランを達成したように・・・

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