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私にとって恩人、大変お世話になったカズミさん

 

 7月14日の夜、スポーツ紙の記者から自宅に電話が入った。

「カズミ(高橋一三)さんが亡くなりました……」

 長年付き合いがあるその記者はトーンを落とした声で言った。

「エッ?」

 聞いた瞬間、言葉が出てこなかった。確かに心臓が悪いというのは知っていた。最近は車イスを使っていたことも。しかし、こんなにあっけなく亡くなるとは……。これほど悪い状態だったとは思ってもみなかった。山梨学院大学野球部の監督だったころには、よくグラウンドへ陣中見舞いにも行っていた。最近は電話しても本人は出てこないので、気になっていたのだが……。

 近親者のみで行われた葬儀に駆けつけて、最後のお別れをしてきた。1975年に最下位になったときのメンバーや、カズミさんのプロ野球界での同級生、山本浩二さん、山崎裕之さんらにも連絡があったようだ。内海哲也らカズミさんの教えを受けた現役選手たちの顔もあった。山梨学院大学野球部の監督は退いていたが、まだまだ若い子たちにカズミさんの投球技術を伝えてもらいたかったのに、残念でならない。

巨人時代、公私にわたって親しくしていた筆者[手前]と高橋一三氏[写真=BBM]



 カズミさんは巨人で1年先輩になる。入団当時、ブルペンでよく一緒に投げた。コントロールは悪かったが、ボールはものすごく速かった。あのころは倉田誠さん、渡辺秀武さんら、みんな速い球を投げる人たちばかりだった。その中に入ってもまれたのだから、その後の私の野球人生があるのもカズミさんたちのおかげだと言ってもいい。

 私生活でもカズミさんには入団時からかわいがってもらった。というより・・・

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