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逸材発掘!ドラフト候補リサーチ2013

石橋良太[投手・拓大]

 

ケガを乗り越え神宮の舞台でラストアピールを誓う

9月7日に東都大学一部秋季リーグが開幕。初の一部リーグ戦に臨んでいる拓大ナインの中で、誰よりも強い気持ちでマウンドに上がる男がいる。
1年春からチームをけん引し続けた石橋良太
神宮球場で迎えた大学ラストシーズンは、チームへの感謝、そしてプロ入りへの強い気持ちを一球に込める。



久々のマウンドで味わった高揚感

 初めて戦う東都一部リーグのマウンド、そして、昨年の秋季二部リーグ戦・専大2回戦以来、約11カ月ぶりとなる公式戦のマウンドに、石橋良太の胸は高揚していた。

 久々のマウンドの“味”をかみ締めるように投じた1球目は、139キロの直球。最速149キロを計時する背番号18の一球にしては物足りないスピードだったかもしれない。だが、右ヒジ痛で今春のリーグ戦で登板なしに終わったことを考えれば、右腕にとって大きな意味のある一球だった。5回104球を投げて被安打7自責点1、7奪三振。復帰戦にしては十分な出来だったが、チームに記念すべき“一部初勝ち点”をもたらすことができなかったことを悔やんだ。「緊張はあまりしなかったけど、うまくリズムに乗れなかった。チームを勝たせられなかったことが悔しいですね」

 そう話す石橋の眼は、かつての堂々たるマウンドさばきを見せていたころに戻っていた。

 大阪府に生まれ、榎小1年時に長曽根ストロングスで投手として野球を始め、5、6年時に全国優勝。三国丘中では浜寺ボーイズに所属して遊撃手兼投手として2、3年時には全国大会に出場した。当時から小柄ながら抜群の野球センスが光っていた。当初は、地元の名門・PL学園高にあこがれを抱いていたが、2002年夏、森岡良介主将(現東京ヤクルト)が率いる明徳義塾高が甲子園を制した姿を見て、心を動かされた。「甲子園に試合を見に行ったときに、ピンストライプのユニフォームがすごくかっこよく見えました。僕もこのユニフォームを着たいな、と」

 石橋少年の気持ちを知ってか知らずか、同じころ同校からの誘いを受ける。そして、練習を見学に訪れた際、「思っていた以上に山奥で驚きました(笑)」と衝撃を受けたという。それでも、グラウンドで先輩たちがハツラツとプレーする姿を見て、「自分もここでやりたい」と、気持ちは固まった。

 入学後、持ち前の野球センスで1年秋から二塁手のレギュラーを獲得。だが、高2の夏、選手権高知大会を控えたある日、石橋に転機が訪れる。「投げてみろ」

 チームの投手不足に頭を抱えていた馬淵史郎監督に呼び出され、突然の“投手テスト”。このとき、野手でのプレーを希望していた石橋の頭の中には「合格してしまったらどうしよう……」という思いが巡ったという。しかし、結果は合格。夏が終わり、秋になるとエースの座を任され、自らの思いとは裏腹に投手としての道を歩み始めることとなった。

右ヒジのケガを経て芽生えた感謝の気持ち

 高3時は、春の県大会、四国大会で優勝。夏の地方大会も優勝候補の筆頭に挙げられたが、決勝で涙をのんだ(対高知高、1対2)。

「悔しかったですけど、達成感もあしてくれなかった。1年春からリーグ戦に出場するも、打率は1割台と低迷。一方で、皮肉なことに投手ではリリーバーとして重宝され、秋には4勝(3敗)を挙げてリーグトップの防御率1.57をマークする。そして、内田俊雄監督との話し合いを経て、2年時から投手へ専念することを決意。その理由をこう振り返る。「やっぱり、自分のことを戦力として考えてもらえることがうれしかったです。監督に『お前が柱になれ』と言っていただいて、その思いに応えたいと思いました」

 一部昇格を目指すチームで、3年終了時までの通算成績は44試合に投げて12勝14敗、防御率2.22。3年連続で秋は最優秀防御率のタイトルに輝いた。ドラフト候補として評価を高め、「まだまだ納得していない」と、大学ラストイヤーに向けてギアを上げていたとき、右ヒジに違和感を覚えた。「3月のオープン戦で投げていたときに、ちょっとおかしいなと思って。痛みもあって、検査に行くとじん帯が伸びていました」

 さあ、これからと意気込んでいた矢先のケガ。春シーズンを全休せざるを得なかった自身をよそに、チームは創部95年目で初の一部昇格を決める。「うれしい半面、自分もそこに貢献したかったなと……」

 どこか複雑な気持ちを抱えながら秋のシーズンへ向けてリハビリを続けていたが、右ヒジの調子が上向いていくのと同時に、心のモヤモヤも晴れていった。「いまはマウンドで投げられることに喜びを感じています。応援してくれる人、後輩たち、リハビリを支えてくれた人、一球一球に感謝の気持ちを込めながら投げたいです」

 そして、見えてきた次のステージへの道。「プロでやりたい気持ちが強い。監督と相談して、(プロ志望届を)出すかどうか決めます」。

 右腕の心にかつての迷いはない。投手としての誇りと責任を胸に、まずは大学ラストシーズンを全力で駆け抜けるつもりだ。

▲9月8日、昨秋のリーグ戦以来となる神宮のマウンドで5回2失点の好投を見せた



PROFILE
いしばし・りょうた●1991年9月16日生まれ。大阪府県出身。172cm75kg。右投左打。榎小1年時に長曽根ストロングスで投手として野球を始め、三国丘中時代は浜寺ボーイズに所属し遊撃手と投手。明徳義塾高で1年秋から遊撃のレギュラー。2年秋から投手と主将を務め、3年夏は高知大会準優勝。拓大では1年春から二部リーグ戦に出場し4年春までに12勝。直球の最速は149キロで、変化球はカットボール、フォーク、カーブ。

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