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振り逃げ可能なシチュエーションで頭上を通過しようとする投球を空振りし、二塁まで達した場合、二塁占有は有効?

 

一死無走者で2ボール2ストライクからの投球は打者の頭上を通過しようとしています。打者はこれを空振りして、一塁へ向けて走りだしました。捕手は後ろに逸れたボールを追いかけましたが、つかんだときには打者は二塁に達しています。この打者走者の二塁占有は許されますか。

 打者走者の二塁占有はもちろん、許されます。「どうしても出塁したい」という打者のとっさの判断が奏功したのです。

 規則5.03にはこう記されています。

「まず、投手は打者に投球する。その投球を打つか打たないかは打者が選択する」

 さらに6.09には、「次の場合、打者は走者になる」として、その(b)にはこうあります。

「(1)走者が一塁にいないとき、(2)走者が一塁にいても2アウトのとき、捕手が第3ストライクと宣告された投球を捕らえなかった場合」

 つまり、捕手がつかめないような完全にボールとなる投球を打者が空振りしても、打者は規則に違反したことにはならないのです。

 しかし、打者は投球がバックネットに達するような悪いボールであることを知った後で空振りしたときは、これを投球に対する空振りとは判断してはならないと、アメリカで発行された解説書には書かれています。そして審判はタイムを宣告するなど、適宜な処置を採るべきだとしています。要するに常識を働かせよというのです。

 さらに、6.09の[原注]に、こうも述べられています。

「第3ストライクと宣告されただけで、まだアウトになっていない打者が、気がつかずに、一塁に向かおうとしなかった場合、その打者は“ホームプレートを囲む土の部分”を出たらただちにアウトが宣告される」

 三振後、ベンチに帰ろうとしてホームベース付近のサークルを越えた段階で、打者にはアウトが宣告されます。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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