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併殺を故意に妨げようとピボットマンに向けてスライディングする行為は許される?

 

無死一塁で打者は平凡な一塁ゴロです。このままでは併殺になると判断した一塁走者は、二塁ベースに入った遊撃手に向けて痛烈なスライディングをしてきました。遊撃手は一塁手からの送球を捕球するのが精いっぱいで、一塁へ送球できませんでした。このときの併殺を妨げようとする一塁走者のスライディングは、正当なものでしょうか。

 決して許されるものではありません。打者アウトを述べている規則6.05(m)にはこうあります。

「野手が、あるプレイをなし遂げるために、送球を捕らえようとしているか、または送球しようとしているのを前位の走者が故意に妨害したと審判員が認めた場合」

 その[原注]には

「この規則は攻撃側プレーヤーによる許しがたい非スポーツマン的な行為に対するペナルティとして定められたものであって、走者が塁を得ようとしないで、併殺プレイのピボットマン(併殺の際、ボールを継送するプレーヤー、すなわち遊撃手・二塁手・一塁手とわたる併殺ならば二塁手、二塁手・遊撃手・一塁手の併殺ならば遊撃手がピボットマンである)を妨害する目的で、明らかにベースラインからはずれて走るような場合に適用されるものである」

とあります。

 選手も心得ているので、最近はピボットマンを妨害する走塁はあまり見られませんが、今年7月12日のヤクルト-DeNA戦(神宮)でありました。3点を追う9回無死一塁で、一塁走者の武内晋一中村悠平が一ゴロを打ったとき、併殺を避けるために、遊撃手の倉本寿彦を目指してスライディング。これが守備妨害と判定され、打者の中村もアウトと判定されました。

 このジャッジに不満の武内はグラウンドにヘルメットを投げつけたので、審判に対する侮辱行為とされ退場を命じられました。武内は「普通のプレーだと思っていた」と話していました。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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