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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

一死一塁からの二ゴロで二塁封殺も、遊撃手は一走のスライディングで一塁送球できず。それでも、打者走者もアウトとなり併殺に。なぜ?

 

一死一塁で打者は二塁ゴロを打ちました。二塁手から遊撃手にトスされ、一塁走者は二塁で封殺されましたが、走者は塁上から離れている遊撃手に向かって足を上げて滑り、遊撃手は一塁へ投げられず併殺とはなりませんでした。しかし、塁審は打者走者にもアウトを宣告して併殺となりました。この併殺はなぜでしょうか。

 一塁走者の悪質な走塁で打者走者にもアウトを宣告したのです。打者アウトを規定している5.09(a)の(13)にはこうあります。

「野手が、あるプレイをなし遂げるために、送球を捕らえようとしているか、または送球しようとしているのを前位の走者が故意に妨害したと審判員が認めた場合」です。

 同【原注】には「この規則は攻撃側プレーヤーによる許しがたい非スポーツマン的な行為に対するペナルティとして定められたものであって、走者が塁を得ようとしないで、併殺プレイのピボットマン(中略)を妨害する目的で、明らかにベースラインから外れて走るような場合に適用されるものである」とあります。

 ピボットマンとは併殺の際、ボールを継送する選手のことで、4-6-3の併殺なら「6」。つまり、遊撃手になります。今年4月3日のソフトバンク日本ハム(東京ドーム)で、ソフトバンクの二塁手・川島慶三が二塁ベースカバーに入った際に、一塁走者の田中賢介のスライディングで転倒し、右足首靱帯を痛め退場したことがあります。そこで、プロ野球理事会で危険なスライディングを禁止する新ルールを検討しているとのことですが、5.09【原注】があるのに、何を検討するのでしょうか。日本でも新しい規則を作ったりせず、この【原注】を厳密に適用すれば、危険なスライディングは防げるはずです。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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