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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

一塁走者がベースに入った遊撃手をめがけて足を高く上げてスライディング。一塁転送できなかった場合の審判の判定は?

 

無死一塁で打者は平凡な二塁ゴロを打ちました。これで併殺かと誰もが思ったそのとき、一塁走者は足を上げ、二塁べースに入った遊撃手めがけて滑ったので、遊撃手は一塁へ転送でませんでした。すると塁審は一塁走者と打者走者にもアウトを宣告し、併殺となって二死走者なしとなりましたが、この判定の根拠はなんですか。

 併殺を試みる塁へのスライディングについて定めた規則6.01(j)を適用したためです。2017年から新たに設定された規則ですが、そこには

「走者が併殺を成立させないために、“正しいスライディング”をせずに、野手に接触したり、接触しようとすれば、本条によりインターフェアとなる」(※インターフェア=妨害)

 とあります。このため、打者ともどもアウトになったのです。

 同規則の最後に「走者が本項に違反したと審判員が判断した場合、走者と打者走者にアウトを宣告する。その走者がすでにアウトになっている場合については、守備側がプレイを試みようとしている走者にアウトが宣告される」とあります。

 つい先日の話ですが、7月1日の阪神-ヤクルト戦[甲子園]でこのルールの適用第1号が出ました。7回一死一塁で一塁走者だったヤクルトのバレンティンが、大引啓次の二塁ゴロで二塁ベースへスライディングをしたときのことです。二塁ベース上で送球を受けた阪神の遊撃手・糸原健斗の足元に滑り込んだ走塁がリプレイ検証され、守備妨害が宣告されました。

 バレンティンは「自分としてはそんな危険なスライディングだったとは思っていない」と語っていましたが、ヤクルトの真中満監督は「ベースへ向かってスライディングしていない。(審判団の)判断は仕方ない」とコメントしています。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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