無死一塁で打者は左翼へ大きな飛球を打ちました。走者は左翼手が捕球すると判断し、二塁から一塁へ逆戻りしましたが、一塁を回った打者はこの一塁走者を追い抜いてしまいました。この時点ではまだ、左翼手のグラブに打球は収まっていません。この場合、アウトになるのは追い抜いた打者でしょうか、それとも追い越された一塁走者でしょうか。 アウトになるのは打者です。規則5.09(b)の(9)には
「後位の走者がアウトになっていない前位の走者に先んじた場合。(後位の走者がアウトとなる)」 と書かれています。このようなケースではアウトになるのは戻ってきた一塁走者ではなく常に後の走者であることに注意しましょう。
同規則の【注2】には
「(前略)たとえば、二塁の走者を甲、一塁の走者を乙とすれば、一塁走者乙が二塁走者甲を追い越したときはもちろん、逆走の際など、二塁走者甲が一塁走者乙を追い越す形をとって、本来本塁から遠くにあるべき乙と、近くにあるべき甲との位置が入れ代わった場合でも、常に後位の乙がアウトになることを規定している」とあります。
7月19日の
ソフトバンク-
西武戦[北九州]であったプレーです。6回表無死一塁で、
金子侑司が打った左越え安打を左翼手が捕球したと思った一塁走者の
炭谷銀仁朗が二塁から一塁に逆戻りし、一塁を回った金子侑に抜かれる形になりましたが、それでも5.09(b)によって金子侑がアウトになりました。かつてパ・リーグで同じケースが起きたとき、打者ではなく二塁走者にアウトが宣告されたことがあります。明らかに誤審なので、後日、当該審判に罰金が課せられたことがあります。なお、質問のケースではその後、左翼手が捕球すれば、やはり打者アウトで一走はそのまま一塁に残ります。