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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

一死一塁で打者が二塁ゴロ。一塁走者が二塁ベースカバーの遊撃手の足元に滑り込んで転送できなかった場合どうなる?

 

一死一塁で打者が二塁ゴロを打ちました。このとき一塁走者は併殺プレーのために二塁手からの送球を受けた遊撃手の足元に向かって滑り込んだため、遊撃手は一塁へ転送することができませんでした。しかし、この後、一塁塁審は打者走者にもアウトを宣告したので併殺となりました。これはなぜでしょう。

 今年から採用された新しい規則が適用されたためです。併殺を試みる塁へのスライディングと題された規則6.01(j)はこうです。

「走者が併殺を成立させないために、“正しいスライディング”をせずに、野手に接触したり、接触しようとすれば、本条によりインターフェアとなる。本条における“正しいスライディング”とは、次のとおりである。走者が、(1)ベースに到達する前からスライディングを始め(先に地面に触れる)、(2)手や足でベースに到達しようとし、(3)スライディング終了後は(本塁を除き)ベース上にとどまろうとし、(4)野手に接触しようとして走路を変更することなく、ベースに達するように滑り込む」

 インターフェアの場合は「走者と打者走者にアウトを宣告する」

 実は昨年までの規則でも、5.09(a)(13)で「野手が、あるプレイをなし遂げるために、送球を捕らえようとしているか、または送球しようとしているのを前位の走者が故意に妨害したと審判員が認めた場合」には打者もアウトという規則がありました。

 野手をケガから守るために今年からはこれを拡張して解釈し、追加されました。7月1日の阪神-ヤクルト戦[甲子園]の7回一死一塁で、ヤクルトの一塁走者・バレンティン大引啓次の二塁ゴロで二塁へスライディングしたときに、ベースで送球を受けようとした遊撃手の糸原健斗の足元に滑り込んだプレーが守備妨害と宣告されています。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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