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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

西武・菊池雄星投手が8月以降、複数回にわたって反則投球を指摘された。今回適用されている規則の内容は?

 

西武菊池雄星投手が8月17日、24日と2度にわたって反則投球を指摘されました。シーズンが進んだこの時期での突然の宣告や、NPB審判員とのやり取り、球団の混乱などは報道されて耳にしますが、そもそも菊池選手のどんな動きが反則をとられているのでしょうか。また、今回適用されている規則とは?

 ここでは審判団と菊池選手、西武球団のこれまでのやり取りなどとは別に、あくまでも公認野球規則に則って見ていきます。審判団の説明によれば、菊池選手の投球モーションに「段がついていること」を問題にしているようです。投球姿勢については野球規則5.07に細かく記されていて、ワインドアップについて触れた(a)(1)の1、セットポジションについて触れた(a)(2)の2に同じ文章で、しかも太文字で次のように記されています。

「打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない」

 これにはさらに細かい説明があって、【注2】には

「(1)(2)項でいう“中途で止めたり、変更したり”とはワインドアップポジションおよびセットポジションにおいて、投手が投球動作中に、故意に一時停止したり、投球動作をスムーズに行なわずに、ことさらに段階をつけるモーションをしたり、手足をぶらぶらさせて投球することである」

 とあります。菊池選手の反則投球を指摘した審判員は「段がついている」と説明していますから、この項に触れた反則なのでしょう。投球動作を止めたり、変更を加える行為の禁止は、フォームの変化によって打者のタイミングを狂わせることをさせないためのものですが、菊池選手のこれまでの発言などからこれらの意図はなかったと考えられます。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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