先発の右投手が6回のマウンドに上がった際、先頭打者を歩かせてしまい、左バッターが2人続くために1度、右翼の守備に回り、左腕がこの2人に対してリリーフしました。その後、右翼に回っていた先発右腕がマウンドに戻り、一死を取りましたが、再度の左打者のためにベンチは再び右翼に回るように指示を出しました。ですが、球審がこれを認めません。なぜでしょうか。 審判員の判断は規則に則ったもので、問のケースの先発投手の2度目の降板→他のポジションへの守備位置変更は認められません。これは“プレーヤーの交代”について定めた野球規則5.10(d)【原注】に次のように定められています。
「同一イニングでは、投手が一度ある守備位置についたら、再び投手となる以外他の守備位置に移ることはできないし、投手に戻ってから投手以外の守備位置に移ることもできない」 したがって問のケースでは先発の右腕に続投させるか、その投手に代えて別の選手を出場させる(投手に限らず)しか許されていないわけです。
しかし、今春のセンバツ高校野球では同規則を審判団が適用ミスする珍事が起こりました。3月19日の履正社高対日大三高戦のことです。9回表、守る日大三高は先発の櫻井投手が打者1人に投げた後、中堅へ回り、その後に再登板。投球後、さらにもう一度、中堅の守備に就いたのです。本来であれば、審判団が投手以外のポジションには就けない旨、日大三高サイドに注意すべきですが、その素振りもなく試合は続行され、試合は12対5で履正社高が勝利しました。試合後になって大会の審判委員会が規則の適用に誤りがあったことを発表し、「審判団もネット裏の審判幹事も誤りに気づけなかった」と説明しています。すでに大差のついていたゲームで
大勢に影響はありませんでしたが、お粗末でした。[文責=編集部]