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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

“二段モーション”について、18年度から規制が緩和されるのはなぜですか? 具体的には規則上はどのような形になる?

 

昨季、西武菊池雄星投手の一件で、久しぶりに話題となった“二段モーション”について、18年度からは規制が緩和されるとニュースで見ました。なぜですか。また、具体的には規則上はどのような形になるのでしょうか。

 2018年度版の公認野球規則が出来上がるのはもう少し先になるので、2017年度のものを参考に回答します。まず、西武の菊池雄星選手の件について振り返ると、昨年8月17日の楽天戦(メットライフ)の試合中に投球が一連のモーションではないとして、2度、反則投球が宣告されました。彼の話題で忘れられがちですが、実はその2日後、日本ハム井口和朋選手も西武戦で反則投球が取られています。

 この“反則”については、投手の正規の投球姿勢を定めた野球規則5.07(a)(1)・1および(2)・2に、同じ文言で

「打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない」

 とあり、イリーガルピッチ(反則投球)についての定義38の【注】に

「投手が5.07(a)(1)及び(2)に規定された投球動作に違反して投球した場合も、反則投球となる」と明確に定められています。

 ちなみに、ここでいう“中途で止めたり、変更したり”とは、5.07(a)の【注2】で「投球動作中に、故意に一時停止したり、投球動作をスムーズに行なわずに、ことさらに段階をつけるモーションをしたり(中略)することである」と解説されており、ここに両投手ともに引っ掛かったわけです。

 しかし、この定義38の【注】は“二段モーション”を反則投球とする日本独自の項目で、国際的なルールブックにはありません。今回の改定を機に、国際基準に合わせるため、この定義38の【注】が削除されるようです。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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