5月30日の巨人対日本ハム(東京ドーム、9対6で巨人がリード)の9回、二塁走者だった日本ハムの西川遥輝選手が2球目にスタートを切り、三塁を陥れました。しかし、公式記録上は盗塁が記録されていません。なぜでしょうか。 この試合までに西川遥輝選手は通算199盗塁としており、9回の場面で三塁に到達直後、東京ドームのオーロラビジョンには『祝通算200盗塁達成』というメッセージが掲載され、場内からは大きな拍手が送られていました。ただし、実際には公式記録員は西川選手の進塁に対して盗塁を記録しておらず、場内のメッセージは球場スタッフによる誤作業(はやとちりですね)で、試合後には「西川選手の三塁への進塁は盗塁ではありません。訂正しておわび申し上げます」と場内アナウンスが流れています。
盗塁の記録に関しては野球規則9.07にさまざまなケースを想定した記載があり、今回のケースは
(g)「走者が盗塁を企てた場合、これに対して守備側チームがなんらの守備行為を示さず、無関心であるときは、その走者には盗塁を記録しないで、野手選択による進塁と記録する」が適用された旨、公式記録員が説明しています。
巨人が3点リードの9回一死二塁の場面で、マウンドにいたA.
カミネロ選手は打者勝負でクイックモーションをせず、捕手もこれを刺しにいこうとしなかったため、盗塁は記録されませんでした。
“守備側チームの無関心”を判断する基準に関しては、イニング、スコアのほかに守備側チームが走者をためようとしていたかの戦術的要素もあり、例えば走者一、三塁で一塁走者が二塁を奪おうとした場合、二塁への送球間に三塁走者が本塁へ突入するのを防ぐために一塁走者の進塁にはこだわらなかった場合には盗塁は記録されます。これは(g)の【原注】を参照。[文責=編集部]