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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

FAによる人的補償で西武が巨人・内海哲也を指名。広島にもプロテクトリストは送付されているはずだが優先権は同一リーグのチームにあるのでは?

 

12月20日、西武炭谷銀仁朗選手の巨人へのFA移籍に対する人的補償として、内海哲也選手を指名しました。巨人は広島からも丸佳浩選手をFAで獲得しており、両チームにプロテクトリストを送っているはずですが、この場合、同一リーグの球団に人的補償で獲得する選手指名の優先権があるのではないですか?

 結論から言うと、同一リーグの球団に優先権が生じるのは、今回の場合、西武も広島も同じ選手を希望した場合のみです。それを指して「優先権は同一リーグの広島にある」とも言えますが、今回、西武に指名された内海哲也選手が広島の希望選手ではなかったとのこと。事前に回答期限が迫る西武側が広島と連絡を取り、希望選手が内海選手かどうかの確認をしていたそうです。

 なお、いわゆる人的補償(FA補償)についてはフリーエージェント規約の第10条(球団の補償)3に次のように定められています。

「当該FA宣言選手(中略)が最初にFAの権利を行使する場合は、獲得球団は、旧球団に対し、旧球団の選択によるところに従い、下記(※中略)の補償をする」

 とし、(1)のアに選手による補償として「旧球団が、選手による補償を求める場合は、獲得球団が保有する支配下選手のうち、外国人選手及び獲得球団が任意に定めた28名を除いた選手名簿から旧球団が当該FA宣言選手1名につき各1名を選び、獲得することができる。前記の選手名簿の旧球団への提示はFA宣言選手との選手契約締結がコミッショナーから公示された日から2週間以内に行う。選手による補償が重複した場合は、当該FA宣言選手と選手契約した球団と同一連盟の球団が他の連盟の球団に優先する」とあります。

 ちなみに、同一リーグ内において指名選手が重複した場合は、該年度のペナントレースの勝率の逆順(つまり下位球団)に優先権があることも併せて定められています。[文責=編集部]
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