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伊原春樹コラム

力まないリラックス投法。ほぼ完ぺきな投球を見せた菅野

 

完封勝利を挙げた菅野。救援陣も休ませる意味ある投球だった


「エースらしいピッチングだった」と巨人高橋由伸監督は手放しで褒め称えた。4月18日のヤクルト戦[熊本]。巨人先発の菅野智之が9回を自身最少の3安打完封で2勝目をマーク(3対0)。約1年ぶりの完封勝利でもあり、「素直にうれしいです」と率直に喜びを表現した。

 この日はいつも以上にリラックスして投げているように感じられた。前回11日の広島戦[東京ドーム]、味方のミスも絡んだが6回途中5失点でKO。チームも敗戦を喫した。そのときは降板時に125球と球数も非常に多く、力が入り過ぎてバランスを崩していたように見えた。必然的に投球にメリハリもなかった。それを見事に修正。ゆったりとしたフォームからキレのある真っすぐ、スライダーをコントロール良く投じた。真っすぐもほとんど150キロを超えることなく、140キロ台。ストライク先行で有利な立場に立ち、ヤクルト打線の打ち気を誘って凡打の山を築いた。

 8回まで100球未満、許したヒットはわずか1本の快投。唯一力が入ったのは9回に入ってからだった。9回も簡単にツーアウトを奪い、打席には第1、2打席、スライダーで空振り三振に斬って取って勢いを封じ込めていた三番・バレンティン。ここでは真っすぐを続けて2ストライクを奪う。そして3球目。捕手の小林誠司はおそらく変化球のサインを出したのだろう。それに対して菅野は首を振った。選択したのは真っすぐ。小林は高めに構えたが、菅野は力んだのか若干、甘めに入り、それをセンター前に運ばれた。

 続く鵜久森淳志にも中前打され、二死一、三塁と一発が出れば同点のピンチ。しかし、ここで慌てることはなかった。雄平をきっちりと中飛に仕留めてチームに勝利を呼び込んだ。

 ワールド・ベースボール・クラシックで世界と戦うために習得したチェンジアップを・・・

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伊原春樹の野球の真髄

伊原春樹の野球の真髄

座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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