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伊原春樹コラム

省エネ投球で築いた三振の山。レベルが上がった則本昂大の投球

 

昨年までは突然、集中打を浴びる場面も目立ったが、今年はその課題も解消されている/写真=大賀章好


 惜しくも4試合連続とならなかったが今季、3試合連続完封勝利を成し遂げた菅野智之(巨人)がセ・リーグにいれば、パ・リーグには則本昂大(楽天)がいる。5月10日のロッテ戦[Koboパーク宮城]で12三振を奪い、自らの球団記録を更新して、パ・リーグでは2011年のダルビッシュ有(当時日本ハム。現レンジャーズ)以来となる4試合連続2ケタ奪三振をマークした。しかもジャスト100球での完封勝利。文句のつけようのない素晴らしい投球で4勝目を挙げた。

 唯一のピンチは初回だった。先頭の荻野貴司に左中間二塁打を打たれ、いきなり無死二塁。貧打で苦しむロッテ打線だけに、伊東勤監督は打席の平沢大河に送りバントを命じた。しかし、1ボールからの2球目、真ん中低め148キロ直球を平沢はファウル。これでバントを決めるのは難しいとベンチが感じたのか、続く3球目からバスターに切り替わった。しかし、ファウルになるなどうまくいかない。結局、最後はフルカウントから152キロの直球で空振り三振に倒れてしまった。

 そこから則本はさらにエンジンを全開にしていく。2回には156キロを計時。直球の勢いがあるから変化球も生きる。この日は140キロ台のスプリットも使い、もちろんフォークも鋭く落ちる。さらにスライダーの制球も素晴らしかった。例えば右打者で言えば外角ギリギリのところからボールゾーンへ変化するから打者にとって対応は困難だっただろう。とにかく、すべての球種のキレ、コントロールが優れていた。

 4球以内の三振も9個、そのうち3球三振は5個。チームによっては2球で0-2と追い込んでから3球目を打たれると「何をやっているんだ!」と叱責される場合もあるのだが・・・

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伊原春樹の野球の真髄

伊原春樹の野球の真髄

座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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