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梨田昌孝コラム

第13回 本塁打量産の背景にあるバレンティンへの甘い攻め

 

 今回は9月15日のヤクルト阪神(神宮)から、1回にバレンティン選手にシーズン最多本塁打のプロ野球新記録となる56号2ランを浴びた阪神バッテリー(榎田大樹投手-日高剛捕手)の配球を考えてみたいと思います。バッテリーは前打者の飯原誉士選手に先制の適時二塁打を許し、一死二塁でバレンティン選手を迎えました。初球は真ん中への直球で見逃しストライク、2球目の外角のスライダー、3球目の内角低めの直球はともに外れ、2ボール1ストライクと不利なカウントになりました。

 一塁は空いていました。球史に残る大記録をつくろうかという強打者ですから、四球でもまったく問題ありませんでした。記録を望む敵地スタンドは異様な雰囲気でしたが、まだ消化ゲームではなく、大差がついた試合終盤でもありませんでした。戦略的にも四球は責められるものではありませんでした。

 とはいっても逃げると客席からのブーイングは必至で、勝負せざるを得ない状況に置かれていたのは理解できます。仮に勝負するなら・・・

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梨田昌孝の戦術眼2013

梨田昌孝の戦術眼2013

2球団の監督として優勝経験を持つ名将・梨田昌孝の試合回顧コラム。

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