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ホームラン打者でなくても打てるし、打ちたい一発だ
満塁で打席に立ったらすべからくホームランを狙うべし!こんな夢の打席はほかにないのだから

 

 ここでもたびたび称えてきたが、いまのプロ野球で最も驚きを与えてくれる、時代を超えたホームラン打者、おかわり君こと西武中村剛也三塁手が、またとてつもないことをやってくれた。

 中村は8月9日のオリックス戦(京セラドーム)の8回表二死満塁で今季4本目となる満塁ホーマーを左翼5階席に放り込んだ。推定140メートルの満塁弾は、これで通算16本となり、並んでいた巨人王貞治(現ソフトバンク会長)の15本を超え、プロ野球最多記録となった。

中村はあっさり最多満塁本塁打記録を達成してしまった。やはり、サムシングを持った男だ



 満塁本塁打の多さは、ほぼ通算本塁打数の多さに比例する、と一応は言えるのだが、9日時点での通算グランドスラムトップ10(8位タイ3人=12本)を調べてみると、まず、ホームラン王になっていない打者が4人もいることが分かる。5位タイ(13本)の駒田徳広(巨人ほか)は195本での記録だ。3位タイ(14本)の藤井康雄(阪急ほか)は282本での記録。2人ともキングにはなっていない。2人を見ると、満塁ホーマーは、本塁打の総本数やタイトルのありなしではなく、巡り合わせであり、しかもそのチャンスを確実にモノにした打者の勲章なのである。

 本塁打王3度(338本)の長池徳士(阪急)は7本どまり。イチロー(オリックス、現マーリンズ)は118本塁打で8本も打っている。もちろん彼はホームラン王になっていない。やっぱり、満塁で打席に立ってしまう男がいるようだ。そして、打ってしまうのである。

 こんなことを書いているとキリがないが、天性のアーチストでなくても、満塁ホーマーを打てる、これが、この記録の最大の面白さだろう。最終的には中村1位、王2位となるようにビッグネームたちの記録なのだが・・・

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岡江昇三郎のWEEKLY COLUMN

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プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

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