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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「オフの過ごし方」

 

63年オフ、[左から]王、稲尾、長嶋とヨーロッパ旅行に出掛けた


楽しかったON、稲尾とのオフのヨーロッパ旅行


 編集者が古い『週刊ベースボール』で、懐かしい写真を見つけてくれた。王貞治長嶋茂雄(ともに巨人)、稲尾和久(西鉄)、そして私の4人が1963年12月、ヨーロッパ旅行をしたときのものだ。

 当時、フランスの航空会社がスポンサーとなり、両リーグMVPと優勝監督の計4人を毎年、ヨーロッパ周遊旅行に招待していた。ただし監督はたいがい旅行に参加せず、その権利を自チームで活躍した選手に譲ってくれる。写真の年も、それでこの4人のメンバーになった。

 毎年だいたい同じような都市の名所・旧跡を回るから、選手のほうも1度行ったらあまり2度目は行かないものだが、私は招待された5回とも参加した。今でこそ日本にヨーロッパ製品はあふれかえっているが、当時は輸入品も少なかった。私は舶来物が好きだったので、買い出し旅行が第一の目的であった。

 だから出発時は、いつも小さなボストンバッグに洗面用具、着替え少々。帰りは大きなスーツケース7、8個に荷物が膨らむ。飛行機の荷物制限に引っかかり、航空会社の係員に、「野村さん、これは困ります」と言われてしまった。仕方がないので、日本から同行してきた新聞記者たちに1個ずつ頼み、どうにか日本まで持ち帰ることにした。

 王、長嶋、稲尾と一緒に行った年は、とりわけ楽しかったのを覚えている。「旅の恥はかき捨て」とはよく言ったもので、旅先ではそれぞれの性格もあらわになる。確か2週間ほどの旅だったと思うが、野球の話なんて1時間に1分ぐらいのものだった。残りの話題は・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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