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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「高校野球」

 

高校時代から兼任監督を経験


 高校時代、野球部には監督なんていなかった。私は監督兼キャプテン兼キャッチャー兼四番。つまり、当時から“プレーイング・マネジャー”を務めていた。

 ところが全国高校野球大会京都府大会ともなると、高野連に部長、監督、マネジャーの名前を提出しなければならない。そこは、担任の先生に名前だけ借りた。実際予選が始まると、立命館大に進学していた先輩の顔を借りた。そのくらい、いい加減なものだった。

 部員は3学年合わせて12、13人程度。ついに職員会議で「野球部をつぶす」案が出た。野球部の活動には、それなりの予算が必要だ。なのに部員ときたら、単位は取れないわ、タバコを吸うヤツがいるわ、の体たらく。そのせいか、生徒指導部の清水義一先生が率先して野球部をつぶそうと音頭を取っている、と聞いた。

 こりゃあ大変だ、と思った。私にはプロ野球選手になる夢があった。野球部をつぶされてはかなわない。そこで私は3年生になったとき、生徒会長選に立候補した。生徒会長になれば、生徒指導部長と密に連絡を取り合うことになる。

 さっそく選挙活動が始まった。私たちの高校は普通科と私の在籍する工業科があったが、歴代の生徒会長は普通科の生徒だった。そこで、選挙違反覚悟で「俺に投票しろ」と“脅迫”して回った。その結果、私は僅差ながらも当選を果たしたのである。

 そこからは、清水先生にどうやって野球への興味を持ってもらうか、「野球は面白い」と思ってもらうか、だった・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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