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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「危険なクロスプレー禁止」

 

1点にかかわるプレーだからこそ……なのだが


今年から本塁での危険なクロスプレーが禁止となったが、筆者は「野球はそんなに変わらない」という/写真=早浪章弘



 前回の週刊ベースボールでも特集されていた、「コリジョン(衝突)ルール」。キャッチャーにとって、ケガ防止という観点では良いことだと思う。二塁、三塁はスライディングして「セーフ」と言われても、ベースを離れた瞬間にタッチされれば、アウトになる。ホームのタッチプレーは、二塁、三塁とは違う。ホームベースに少しでも触れれば、体はすぐに離れてもいい。1回ホームベースに触れば終わりだから、思い切って向かってくる。もちろんそこに、1点が絡むから、余計猛烈なスライディングになるわけだ。

 私もランナーにはずいぶん、やられてきた。特に東映は荒っぽい野球をする連中ばかりで嫌だった。張本勲山本八郎白仁天……。張本なんか、5メートルも手前で私がボールを持っているのに、アウトと分かっていて足を上げ、ボールをバーンっと蹴っ飛ばしにくる。プロテクターをつけているから大ケガにはならずに済んだが、あまりにもアンフェアというか、スポーツからはかけ離れていた。

 そりゃあランナーの立場からすれば、キャッチャーがベースを隠しているのを見たら、蹴っ飛ばしたくもなるだろう。だから、キャッチャーがボールを持っていないとき、ホームベースをブロックしてはいけないルールがある。キャッチャーはそのルールに従い、ベースの一辺を空けておく必要があった。

 頭の良い、うまいキャッチャーは、これを利用した。つまり、そこにランナーを誘い込み、捕球と同時に左足でホームベースを完全にブロック。滑ってくるランナーにタッチする。

 キャッチャーだって選手であり、人間でもある。ケガ防止につながるのなら、今回の新ルールも私は歓迎する・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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