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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「オープン戦」

 

ノーマークの練習生に安心していたら……


 開幕を3週間後に控え、オープン戦も佳境に入ってきた。オープン戦の目的は2つ。レギュラー、ベテランクラスはシーズンに備えてのコンディション調整。若手、新人はレギュラー取りのチャンスである。若い補欠組は、もはやコンディション調整などとのんきなことは言っていられない。3月に勝負をかけなければならないわけだ。

 仮にオープン戦を20試合やるとしたら、若手を試すのは長く使っても最初の10試合。見込みのある選手かどうか。我慢して使っていれば、ものになるかどうか。実際は、そこまで使わなくても分かる。

 バッターに関して言えば、変化球への対応が全打者に共通したテーマ。だから若手には最後にひと言、「変化球への対応はどうしているんだ?」と聞く。すると皆、判で押したようにこう答える。

「タイミングだけ考えています」

「それじゃあバッターが内外角のコースに絞るとか、球種に絞るとか、その目的はなんだ?」

 今度はそう聞くと、答えられない。プロのレベルまで来ていながら、だ。そこで1から10まで教えなければならない。

「バッティングで一番大事なのはなんだ?」

「タイミングです」

「それは分かっているんだな。コースを狙う、球種に絞るっていうのは、言い換えれば“タイミングを計っている”ということだろう」

「ああ、そうですねえ」

 相手が“分かっているだろう”と思ってはいけない。なんでも確認、確認。“そんなこと常識だろう”と思ってもいけない。一度は確認してみないと、「そんなこと考えたこともありませんでした」などと意外な答えが返ってくるものだ。

 私が正捕手へのきっかけをつかんだのは、オープン戦だった・・・

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野村克也の本格野球論

野村克也の本格野球論

勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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