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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「選手の視線」

 

外国車に乗りたければまず野球を頑張れ


 先日、メガネのフレームを新調した。ツルの部分が鼈甲(べっこう)で作られたフレームに替えたのだ。私は両目とも視力1.5。このメガネはダテだ。顔にコンプレックスがあり、メガネをかければ少しはごまかせるかな、と思ってかけ始めた。今度は少しでもモテないかな、と高価な鼈甲のフレームに手を出した。

 私はセンスの良し悪しはともかく、おしゃれにはとても興味がある。繰り返しになるが、容姿ではモテないぶん、せめてカッコいいものを着てカバーしようと思っているからだ。私が現役のころ、大阪はまだ東京に比べ、いろいろなものが遅れていた。私は舶来品が好きで、唯一大阪にあった舶来洋品専門店を行きつけにしていた。しかしそこはとても小さな店だったため、ほとんどは遠征で東京へ来る際、今も銀座にある舶来品専門店で買ったものだ。

 家の衣裳部屋にたまった洋服は、折を見て整理しなければならない。克則(野村克則、三男=現ヤクルト一軍バッテリーコーチ)に「好きなのを持っていっていいよ」と言ったところ、「センスが悪い」と断られてしまった。センスというより世代の差だろうと、最近は同世代の人に「着ていただけるものがあれば、持っていってください」と言って、見てもらうことにしている。

 しかし、自分が身に着けるものに関して、選手の視線を意識したことは一度もない。高級でセンスのいいファッションを身に着けるのは、もっぱら女性の目を意識してのことだ。身なりで選手に何かを認めてもらおうと考えたことはなかった。

 選手を意識したのは、自分の乗る車である・・・

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野村克也の本格野球論

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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