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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「一本足打法」

 

内角を苦手とする打者はプロでは大成しないのだが


王(右)の一本足打法を二人三脚で作り上げた荒川コーチ(左。写真=BBM)


 2016年も残すところ、あとわずか。この年になると、知己の野球人が何人鬼籍に入ったかと思い出し、ボチボチ自分にもお迎えが来るのだろうなあ、と感じざるを得ない。12月に入ってからも、球界は荒川博さんという名コーチを失った。

 荒川さんは現役時代、毎日オリオンズの外野手だった。一時期レギュラーを取ったこともあるが、私は代打としての荒川さんの記憶がほとんどだ。若いファンには、王貞治(元巨人)のお師匠さんとしての荒川さんのほうが圧倒的に有名だろう。言い方は悪いが、王のおかげで荒川さんは“名コーチ”の称号を得た。

 荒川さんが王に授けた一本足打法は、それほど難しいものだった。確かに、ものは考えようなのは分かる。「足は2本しかない」と思うから、足を2本使う。しかし、「足は2本もある」と思えば、1本でもいい。荒川さんは後者の考えだった。

 王は早実からピッチャーとして巨人に入団。その後、野手に転向した。大阪球場のオープン戦で、左打席に立った若き日の王を見たときは、のちにあんな大打者になるとは思わなかった。なぜか。「内角を苦手とするバッターはプロで大成しない」が私の持論。王を最初に見たとき、彼はこの持論に当てはまるバッターで、プロでは通用しないのではないかと思ったからだ・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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