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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「アマ選手を見る目」

 

野球には9つのポジションがある


法大時代の稲葉篤紀の素質を筆者は見抜いた/写真=BBM


 いよいよ今季の新人選手たちが、プロの第一歩を踏み出し始めた。前号で、わが故郷の隣町出身だと紹介した阪神糸井嘉男。しかし、私は彼が日本ハムで活躍するまで、そんな選手がわが故郷にいたことさえ知らなかった。彼が(京都府立宮津)高校を卒業した1999年、私は阪神タイガースの監督を務めていた。もし糸井や関係者が同郷のよしみで、「プロ野球に入りたいのですが」「一度見てもらえないでしょうか」と電話の一本もかけてくれたら、喜んで見に行ったはずだ。少なくとも私が糸井の立場だったら、そうしたと思う。

 しかし、スカウトもスカウトだ。私は糸井の名前を、スカウトの口から一度も聞いていなかった。その後、糸井は近大を経て2004年、日本ハムに入団。彼を自由獲得枠で取ったスカウトは、ボーナスものである。入団当初のポジションであったピッチャーとしては成功できなかったが、あの恵まれた体格と身体能力があれば、何かとツブシが利くことは予想できただろう。

 外野手、スカウト……といえば、私がヤクルト監督時代の94年、稲葉篤紀(当時法大)を指名したときのことを思い出す。あの年、私は編成部に「即戦力の左バッターを取ってくれ」と注文していた。最初の答えは「いません」だった。

 ところが、である・・・

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野村克也の本格野球論

野村克也の本格野球論

勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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