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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「優勝チームに名捕手あり」

 

4月18日、ヤクルト戦[熊本]で菅野を完封に導いた小林[左]。名捕手になるため、さらに勉強してほしい/写真=湯浅芳昭


お友達、仲良し内閣が指導者の人材難を生む


 かねてから、四国に1つプロ野球球団があればいいのに、と考えていた。高校野球の名門校も多く、野球好きな土地柄だと推測される。親会社になりうる大企業がないというが、むしろ親会社に頼らず独立採算で経営する良いチャンスになるはずだ。

 独立リーグが地道な活動を続けているとはいえ、やはりプロスポーツとして中途半端であるのは否めない。お客さんもどこか中途半端な気持ちで野球を見てしまうだろう。今季、高知に元メジャー・リーガーの大物、マニー・ラミレスが入団したが、開幕から2週間ももたず、肉離れで戦列を離れてしまった。野球界を良くしていこうという向上心ではなく、自分の職探しに来ただけなのではないかと疑ってしまう。

 ファンは目が肥えているのだから、「さすがプロ」と感心させる一流のプレーを見せなければ、納得してはもらえない。そんなプレーヤーがなかなか出てこないのは、プロ野球界全体の問題だ。まず、“大監督”がいない。「さすが」と言える監督からして、いないのだ。監督の人材難は、ますます深刻になってきた。

 いや、人材難は監督だけでない。キャッチャーの人材難も依然、続いている。やはり、指導者不足に尽きるのか。ここで何度も言ってきたように、今のプロ野球界は能力主義でなく、処世術に長けた者がコーチング・スタッフに名を連ねる。仲良しグループ、お友達内閣を作るのは、そもそも巨人原辰徳が最初に始めたことだ。巨人の影響力が、こんなところまで球界に強く及ぶのかと驚いた。

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンの正捕手を務めたのは、巨人・小林誠司だった。私はWBCの開幕前、テレビで彼のクセを指摘した。それが耳に届いたのかどうか定かではないが、本戦ではそのクセが改善されていた。結局、公式戦も巨人の先発マスクは小林がかぶっている。どうなのだろう。私は正直、大卒のキャッチャーを・・・

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野村克也の本格野球論

野村克也の本格野球論

勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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