2018シーズンにおけるセ・パ両リーグのタイトルホルダーを取り上げる新連載。その第1回に登場するのは、35歳でも元気いっぱい、それでいてちょっと控えめな右腕だ。転機となったのは、2016年途中のトレードだった。崖っぷちから生還し、プロ17年目にして初めて最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。チームとともに大躍進を見せたシーズンを振り返る。 取材・構成=富田庸 写真=小倉元司(インタビュー)、BBM 肉体的に若くなった
「よろしくお願いします!」。取材場所で顔を合わせるなり、深々と一礼した近藤一樹。ハキハキとした受け答えには、ベテランの“余裕”などは一切感じさせない。マウンド上で見せる躍動感は、普段の所作と確かにつながっているように思えた。 ――17年目に初タイトルとなる「最優秀中継ぎ投手賞」に輝きました。
近藤 正直、タイトルを獲れるなんてまったく思っていなかったので……。もちろん活躍したいとは思っていましたけれど、タイトルを獲るのは、その部門で一番の選手。まさか自分がそういうところにいるとは思いもしなかったし、縁のないこと。あらためて、すごいことをしてしまったな、と。チームに助けてもらいながら、チャンスを与えてもらいながら獲れた賞ですから、皆さんに感謝をしながらいただきました。
――11月27日にはNPBアワードの表彰式に出席しました。そうそうたる面々の中で、少し緊張気味だったように見えました。
近藤 ああいう場所には本当に実力があり、来年も続けて取れるような人が行くところだと思いましたね。僕みたいな“ポッと出”が行ったところで、似合わない場所だと(苦笑)。
――出席したことで「また来年も」という意欲がわいたりとかは……。
近藤 若いころはもちろん、賞を獲りたいという意欲はちょっとありましたけど、ある程度の年齢までいったら、コソッとやっていたいというか(笑)。ユニフォームを着ていたらもちろん活躍していたいですけど、それ以外ではコソッとしていたい。もし活躍したとしても、ああいう場所はもういいです(苦笑)。僕はコソコソ活躍していればいいんです。
――35歳にしてこの躍進です。
近藤 自分自身を分析してみると、
ヤクルトに来てから・・・
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