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惜別球人2017

飯山裕志 引退惜別インタビュー 泥だらけの20年間 「練習は絶対に嘘をつかない。それだけを信じて20年間やってきた」

 

20年間で一度もレギュラーにはなれなかった。それでも鉄壁の守備で厳しいプロの世界を生き抜き、代役の利かないスペシャリストとして欠かせないピースとなった飯山裕志。野球少年のように泥だらけになりながらひたむきに白球を追いかけた日々。その軌跡をいま辿る。
取材・構成=松井進作、写真=高原由佳、榎本郁也、矢野寿明(インタビュー)、BBM


引退試合の舞台裏


慣れ親しんだ登場曲である長渕剛の「勇次」が札幌ドームに大音量で鳴り響いた。プロ生活20年間で目立った成績はなし。それでもファンの誰もが分かっていた。この男のプロフェッショナルな技とたゆまぬ努力を。誰からも愛された北の守備職人が万感のフィナーレを迎えた。

──まずは一番お聞きしたかったことから。10月3日のオリックス戦[札幌ドーム]での引退試合。栗山英樹監督からスタメンでの出場を打診されながらも固辞されたそうですが、それはなぜですか。

飯山 よくご存じですね(笑)。ありがたいお話だったんですけど、もう引退を決めた時点でグラウンドに立つべき人間じゃないと思っていたのが一番の理由です。もちろんファームで練習はずっと続けていましたけど、こんな気持ちで、みんながガチンコでやっている試合に出してもらうのは申し訳ないというか。そんな思いもあって栗山監督にかなり無理を言って、出していただけるならいつもどおり(守備固めや代打)でお願いしますと伝えました。

──監督はどんな反応をされていましたか。

飯山 そうか、長く出てもらいたかったけどなって言われました。

──引退試合も飯山さんらしく8回表から遊撃手として出場。その裏には打席に立って左飛、9回裏には最後のゴロを自らさばいて試合(10対5で勝利)を締めくくりました。

飯山 まさか自分のところに飛んでくるなんて思ってなかったので、ちょっとびっくりしました。それでもああいう形で最後のゴロを自分でさばけて、みんなとグラウンドで勝利の瞬間を迎えられたのはすごくうれしかったですね。

──結果的にそれが現役最後のプレーとなったわけですが、遊撃で守っているときはどんなことを考えられていましたか。

飯山 守っているときはいつも必死なのでほかのことを考える余裕なんてないですけど、それでも9回の守りに就く前は・・・

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惜しまれながらユニフォームを脱いだ選手へのインタビュー。入団から引退までの軌跡をたどる。

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