鷹軍団のエース格へと上り詰めながら、国指定の難病に侵され、停滞を余儀なくされた。だが、それでも歩みを止めることはなかった。不死鳥のように復活を遂げ、強い輝きを放つことでファンの記憶に刻まれた左腕の野球人生とは。 取材・構成=杉浦多夢、写真=湯浅芳昭、大賀章好(インタビュー)、BBM 最後は福岡の地で
10月3日、慣れ親しんだヤフオクドームのマウンドで最後の時を迎えた。相手は11年を過ごした古巣・ソフトバンク。1人限定で先発すると、上林誠知に2球目をライト前へ弾き返され、少し苦笑いを浮かべた。最後はロッテ、ソフトバンク両軍の選手たちの手で宙に舞い、大隣憲司は12年間の現役生活に別れを告げた。 いろいろな思い出のあるヤフオクドームだったので、マウンドからの景色を眺めながら「いい球場だな」「本当にこれで終わってしまうんだな」と思いながら最後のボールを投げました。上林に2球目を打たれましたけど、僕が「真剣勝負でいきたい」と言っていたのでね。試合後に上林と会ったときはマスコミの皆さんもいたので「さすがに打つの早過ぎやろ」「2ストライクまでは待ってくれや」と声を掛けましたけど、もちろん冗談です。真剣勝負で対戦してくれてうれしかったですね。なかなか引退試合で負け投手になるというのも珍しいと思うので(笑)、いい思い出にもなりました。
試合前は「泣いてしまうのかな」という気持ちもありましたが、「泣くのも自分の・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン