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惜別球人2018

天谷宗一郎 引退惜別インタビュー ファンの歓声に支えられて 「一軍でファンの歓声を浴びる、あの瞬間があるから、苦しいときを乗り越えてこられたんだと思います」

 

高い身体能力を生かした、アグレッシブでスピードあふれるプレーが魅力。その姿にファンは期待を膨らませ、いつもその姿をと夢を見た。だが、調子の波や故障があって、コンスタントな活躍は果たせなかった。期待された確率の高さと持ち味の狭間で揺れ続けた17年。それでもファンの声援を支えに悔いなく天谷宗一郎は走り抜けた。
取材・構成=藤本泰祐、写真=BBM


一軍に呼ばれず決意


──引退から約2カ月。実感はありますか。

天谷 来年、キャンプにスーツを着て行ったときに、ホントに感じるんだろうなあと思います。マツダ広島とか大野(合宿所)に気軽に行けないのがちょっと悲しいですね。体は全然動かしてないです。「普通の35歳はバック走なんてやることはないんだな」と分かりました(笑)。

──引退試合(10月4日巨人戦。マツダ広島)はどうでしたか。

天谷 センターで「ああ、これで最後か」なんて気持ちに浸っていたら、いきなり打球が飛んできたんでびっくりしました。足がフワフワしてましたね。打つほうは、菅野(菅野智之)選手はガチでした(笑)。あっちはCSも個人タイトルもかかっていたので、ガチなのは分かっていたんですけど、初球ぐらい真っすぐを投げてくれるかと思ってたんですよ。そしたら全部スライダーで。イメージ的には、外野フライ打ってオーバーランして戻ってくるか、ショートゴロとかで一塁まで走って、みたいに思っていたんですけど、打った瞬間、そこにボールありましたからね(笑)。(※結果はキャッチャーゴロ)。まあ、最後、菅野選手でよかったです。いまや日本のエースですから。しかも真剣に向かってきてくれてありがたいです。いい引導を渡してくれたなと。

──最後の挨拶は、勝てなかった時代を知る天谷選手らしいものでした。

天谷 今を知っているファンの方からしたら低迷期ですよね。低迷期でしたけど、いろんな経験をさせてもらって、カープには感謝しかないですよ。久しぶりにマツダ広島でファンの声援を受けて、やっぱりいいもんだと思いました。ここでやらなきゃ意味ないよなと。僕も17年やりましたけど・・・

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惜しまれながらユニフォームを脱いだ選手へのインタビュー。入団から引退までの軌跡をたどる。

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