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2015ドラフト指名選手クローズアップ
阪神5位・青柳晃洋 独特なフォームの“クオーターハンダー”

 

アンダーハンドよりも上から、キレ味の良い最速144キロのストレート加え、スライダーら変化球の精度も高い。球団はかつての虎のエースだった“小林繁二世”として売り込んでいきたいという。本人も1年目から一軍で投げる意気込みを見せている。
取材・文・写真=上原伸一

3年秋を棒に振るもブレなかった一途な思い


 1年前を思えば、嘘のようだった。帝京大の青柳晃洋は10月22日のドラフト会議で阪神から5位指名を受けると、込み上げるものがあったという。昨秋の首都大学リーグでの登板はわずか1イニング。青柳は「右ヒジのケガで大事なシーズンを棒に振ってしまいました」と振り返る。同期の西村天裕(和歌山商)が翌年のドラフト上位候補に名を連ねる中、出遅れた感もあったろう。それでも入学時の「4年後は必ずプロに行く」という決意にブレはなかった。今春3勝を挙げて復活を果たすと、秋はリーグ最多の6勝に初のベストナインと、スカウト陣も納得させる投球を見せた。

 指名直後、真っ先に「おめでとう」と声をかけてくれたのは、その西村だった。西村とはエースの座をかけて4年間競い合ってきた。

「天裕(西村)は今回、指名が見送られたので、心中は複雑だったはず……。天裕という存在がいたから、僕は大学で成長できたと思います」

 帝京大・唐澤良一監督によると「ランニングのときも2人は張り合っていて、どちらかが終えるまでずっと走っていた」と明かす。

野球人生を変えたコーチとの出会い


独特な腕の位置から繰り出されるボールに、一流のプロの打者も苦戦するはず。球速表示以上の伸びで詰まらせていく



 青柳の最大の持ち味は横手から浮き上がってくる最速144キロのストレート。青柳は「プロでも真っすぐで押せる投手になりたい」と言葉に力を込める。一方、変化球で新たな武器になったのが、今秋から使い始めたツーシームだ。右打者の内側を突き、左打者からするりと逃げていくツーシームは、持ち球のスライダーを生かすボールにもなった。唐澤監督は「ツーシームが加わって投球の幅が広がったのと、試合終盤でも球速が落ちなくなったことが、秋の成績につながったのでは」と見ている。

 青柳がサイドスローに転じたのは野球を始めてわずか3年目。寺尾ドルフィンズ(軟式)でプレーしていた小学6年のときだ。チームの平岡昭彦コーチ(当時)から横から投げるように言われたという。

「僕のボールは速いほうだったんですが、コントロールに難がありまして。それと・・・

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ドラフト指名選手クローズアップ

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ドラフトで見事に指名を勝ち取った選手たちに焦点を当てる短期集中連載。

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