高卒3年目。入社時に覚悟を固めていたとおりホップ、ステップ、ジャンプでプロ入りを遂げた。2022年から指揮を執る新庄剛志新監督の下で、攻撃型ショートストップは「即戦力」の活躍が期待される。 取材・文・写真 寺下友徳 今年は宇多津駅[香川]の駅員として勤務。鉄道マンとして社会経験を積んだ
「このままでは、ドラフト指名はないかもしれない。初戦がポイントになる」
今年7月の社会人野球日本選手権直前。JR四国の不動の遊撃手・
水野達稀は並々ならぬ思いを持って、三菱重工Westとの1回戦に臨もうとしていた。
なぜ、そこまでの決意を抱いていたのか。その理由は、丸亀城西高2年時(2017年)にさかのぼる。同年6月、丸亀城西高は香川県高野連主催の招待試合で
清宮幸太郎(現北海道
日本ハム)を擁する早実(東京)と対戦。この一戦で水野は5打数4安打、1本塁打、6打点に2盗塁と大暴れした。多くの関係者が注目した一戦で「ここではっきり、プロを意識するようになった」と、分岐点となった。それから1年後の3年夏には、リードオフマンとして13年ぶりの甲子園出場に貢献。日南学園高(宮崎)との1回戦で敗退(0対2)も、3年間で積み上げた本塁打は27本。攻守でアグレッシブなプレーで、インパクトを残す夏となった。
「3年でプロへ行く」と、明確な目標を掲げ、JR四国へ入社。チーム合流直後の2月、高知キャンプ中の埼玉
西武B班とのオープン戦で、手応えを得る。「
高橋光成さんにも、思ったより振り負けなかった」。高卒ルーキーはプロの投手を相手に得た自信を胸に、都市対抗四国予選では首位打者賞を受賞。東京ドームでも三菱重工神戸・高砂のエース・守安玲緒から本塁打を放った。入社2年目の都市対抗は四国銀行の補強選手として出場し、パナソニックとの2回戦で3安打を放つなど、チーム初の8強入りに貢献した。
高校時代から定評のあった50m走6秒0の俊足と、遠投100mの強肩を生かした広い守備範囲に磨きがかかった。「社会人に入って、ミートポイントをホームベース寄りに下げて、ボールが見えるようになりました」。打撃面においても社会人トップレベルの投手に対して順応。ホップ、ステップの過程を踏み、プロ入りへジャンプアップするはずだった入社3年目、水野は大きな壁にぶつかる・・・
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