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Vol.10 勝俣翔貴[東海大菅生高・投手兼外野手]
高校生トップクラスの逸材

 

春に開催される第87回選抜高校野球の注目選手の一人・勝俣翔貴。最速142キロで高校通算14本塁打。投打で存在感を発揮する二刀流は、非凡な野球センスを秘めた大器。今後の成長が楽しみな逸材である。

 昨秋の東京大会で優勝を飾ったチームの中心選手。選抜高校野球への出場も決まり、春の甲子園を沸かせる一人となるだろう。投げてはエース、打っては主軸打者。大谷翔平(日本ハム)に続く、二刀流として活躍する可能性を秘めている。

 まずはピッチャーから見ていきたい。投球フォーム(7.0)だが、現段階で高い評価を与えることはできない。下半身がうまく使えておらず、トップの形が作れていない。いわゆる、手投げの状態である。右ヒジの位置も低く、腕も振れない。こじんまりしている小さいフォームと言える。そのため、ストレート(7.0)の威力が不足している。最速は140キロを超えるが、常時130キロ台。球威不足が顕著である。今後はストレートの力を磨くことが必要になってくる。

 さらに制球力&投球術(7.5)もまだない。コントロールの精度が低いため、組み立てに苦労が見られる。すべての原因は不安定なピッチングフォームにある。課題は多いが、まずはフォームを固めることが最優先事項だ。



 しかし、変化球(7.5)のキレ味は鋭い。中でもタテに小さく曲がるカーブが大きな武器になっている。カウント球としても、ウイニングショットとしても使えることが一番の強み。打者からすれば、タイミングが取りづらい非常に厄介な球である。

 次に打者としての評価。力みのない自然体の打撃フォーム(8.5)は何も言うことがない。軸足にしっかりタメを作り、軸回転でレベルスイングができている。インコースを苦にせず、一、二塁間に強い打球を打てる。そして何よりも、ボールを迎えに行かずに打てることが大きな魅力だ。昨秋の明治神宮大会の1回戦(対静岡高)で右中間スタンドに1本運んでいるが、変化球を上手く引きつけて打った会心の一打だった。インパクトで強く、自分のポイントでたたけるため、遠くまで飛ばすことができるのだ。

 選球眼(7.5)も優れている。ボールを長く見ることができるため、見極めが上手い。メンタル(8.0)も強い。ファーストストライクを積極的に狙う姿勢や得点圏にランナーを置いたときの集中力は目を見張る。「オレに任せておけ!」と言わんばかりの身構えは、高評価に値する。

 三拍子のバランス(8.0)も整っている。打撃に関しては問題なく、脚力もある。外野守備も経験を積めばもっとうまくなるだろう。今後成長するためには体力強化(8.0)が重要になる。特に下半身強化。厳しいトレーニングを怠ることなく積んでいくことが大事になってくる。

 投手、打撃ともに将来性(9.0)が楽しみな逸材である。中でも打者としての素質は高い。長距離ヒッターというよりも中距離打者。センターを中心に打ち返すミート力も持っており、広角にも打てる。打者としての能力は間違いなく高校生トップクラスだ。投手としての未来も明るい。常時140キロ台のストレートが右打者アウトコースに決まってくれば、大化けする力を秘めている。

 プロ志望届を出せば上位で指名される可能性を持つ。選抜での成長度が今後の将来に大きく関わってくる。

■採点表
投球フォーム 7.0
ストレート 7.0
変化球 7.5
制球力&投球術 7.5
打撃フォーム 8.5
選球眼 7.5
3拍子のバランス 8.0
メンタル 8.0
体力 8.0
将来性 9.0
合計 78.0
※採点の基準は2015年のドラフト対象選手

PROFILE
かつまた・しょうき●1997年7月20日生まれ。神奈川県出身。180cm 78kg。右投左打。箱根の森小1年時から箱根フリッパーズで投手として野球を始め、箱根中時代に在籍した小田原足柄シニアでは3年時に全国大会出場。東海大菅生高では1年夏から背番号13でベンチ入りし一塁手。2年夏は西東京大会準優勝。今秋は18年ぶりに東京大会を制し、神宮大会は準決勝敗退。今春のセンバツに出場する。
プロフェッショナルレポート

プロフェッショナルレポート

元巨人チーフスカウトで現在はベースボールアナリストとして活動する中村和久によるドラフト候補生の能力診断。

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