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Vol.39 寺嶋寛大[創価大・捕手]
プロ注目の大型捕手

 

東京新大学リーグで2季連続ベストナインに輝いているプロ注目の捕手だ。1年秋から正妻の座をつかみ、今年からは主将の重責を担っている。チームメートや監督から絶大な信頼を受けているが、大学選手権の準決勝で、ある“失敗”を起こしてしまう。その失敗、幕を明けたラストシーズン、そして今後について、今の胸中を明かす

小川泰弘から学んだ一球の重み


「練習やオープン戦では、たいしたことない選手。でも、大舞台に強い。特にここ一番という場面で打つんだよね」

 創価大・岸雅司監督は、寺嶋寛大を評してしみじみと言った。

 今春の東京新大学リーグ戦。最終週の東京国際大3回戦(5月26日、埼玉県営大宮球場)は、勝った方が優勝という大一番となった。0対2とリードされて迎えた8回裏、無死一、二塁の好機で四番の寺嶋に打席が回る。四番とはいえ、送りバントもありえるケース。「どうする?」と問う岸監督に、寺嶋は迷わず答えた。

「打ちます。打たせてください」

 宣言どおり、東京国際大エース左腕・氏家優悟の外角高めの直球をとらえると、同点の中越え三塁打に。この一打をきっかけに、創価大は6季連続40度目のリーグ制覇を果たした。「その前の打席で球の見方がよかったので、自信があったんです」。寺嶋は笑顔で振り返った。

 31年の指導歴で小谷野栄一(北海道日本ハム)、小川泰弘(東京ヤクルト)ら多数のプロ選手を育てた岸監督が、うれしそうに言う。

「ああいう場面で『任せたぞ』と言うと、『はい』と答える選手はたくさんいた。でも、『打ちます』と言った選手は今までにいなかったですね」

▲今春の東京新大学リーグではMVPに輝いた。打力もさることながら、154キロ右腕・田中正義[2年]や小松貴志[3年]らの好投手をリードし、チームをけん引している



 静岡・興誠高(現浜松学院高)時代には26本塁打を記録。大型で強肩強打の右打ちの捕手として、プロのスカウトも注目した。だが、寺嶋はプロ志望届を出さずに進学する。

「高卒でプロに行けるほどではなかった。創価大に行けば天狗にならずに自分を鍛えられると考えました」

 創価大では、2学年上にエースの小川がいた。1年秋から正捕手となり、小川とバッテリーを組んだ。その経験が、寺嶋を成長させる。

「小川さんから・・・

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