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佐藤優[東北福祉大・投手] 剛と柔を兼ねた投球

 

プロへの挑戦をかけ、今秋に闘志を燃やしている。打者を圧倒するストレートに柔軟な頭を併せ持ち、4季連続で全国を逃している名門をけん引する右腕。1点に泣いた春の経験を糧にチームと自身の栄冠へ突き進む。
取材・文=鶴田成秀、写真=松田杏子



試行錯誤の末に自信を得た投球


 この右腕が目指す場所は2つある。一つは当然、日本最高峰の舞台“NPB”だ。

「成長を実感してきているし、結果も出始めてきて、ピッチングに自信を持ててきた。プロの舞台でやりたい気持ちは強いです」

 ただ、その意識は今春から芽生えたもの。自らの投球に自信を持ち始めたのも、そのころからだという。

 スリークオーターから投じる直球の最速は152キロを計測。カーブ、スライダー、チェンジアップを織り交ぜ、打者を圧倒。そのポテンシャルの高さは高校時代から見せており、古川学園高3年夏の1回戦では19三振を奪うなど、当時からプロ注目の存在だった。だが、本人は「周りの投球と比べると、自分は全然」と、自信をつかめず。その自信を得るため、高校卒業後は「ここで成長して、(プロに)行ければいいな」と、名門・東北福祉大の門を叩いた。

 不確かな自信と、不明確な意識の中での入学も、「武器」と自負する真っすぐの“ノビ”と“キレ”で勝負する投球スタイルで、1年生からマウンドに立った。3年生となった昨年から登板機会は増え、昨秋は4試合で19イニングを投げ、失点はゼロ。3勝を挙げて仙台六大学リーグの優勝に貢献した。だが、反省の連続だった。佐藤は言う。

「ピンチになったら打たれて降板。勝ちはついていましたけど、しっかりピンチを抑えて、最後までマウンドを守れる投手になりたかった」

 リーグVこそ果たしたが、東北地区代表決定戦準決勝で富士大に敗戦し(0対4)、神宮大会出場はならず。佐藤の登板はなかったが、悔しさを感じずにはいられなかった。

「去年は春も仙台大に負けて、選手権にも出られなかった。ずっと福祉大が勝ち続けていたので、前代未聞みたいに言われて。それがすごくイヤだった。変えたかった」

 リーグ優勝を数えること65回、大学選手権でも2度の栄冠に輝き、神宮大会は準優勝が4度。伊藤義博元監督の下、名門を築いてきた東北福祉大だが、近年は東北学院大、仙台大が力をつけ、リーグ各校の実力が拮抗している。その他校を破り、全国舞台に行くためには「真っすぐにはこだわりがある」佐藤も、投球の幅を広げるべく、新球種・フォークの習得に着手。冬場は1日の投げ込み200球のうち、50球をフォークに費やして感覚をつかむと、シート打撃で打者の反応を確認。落差が足りないと感じれば「握りや腕の振りをチームメートに聞いたりして、繰り返し投げました」と、試行錯誤を重ねた。そして、今春を迎えるころにはフォークをマスター。その効果を佐藤は、こう語る・・・

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