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逸材発掘!ドラフト候補リサーチ2016
池田隆英[創価大・投手] 4年春で得たリーグ戦初白星

 

016年のドラフト戦線は創価大・田中正義が「超目玉」と言われているが、同大学にはさらに2人、スカウト注目の逸材がいる。そのうちの一人、151キロ右腕は田中と高校時代からの同僚だ。大ケガを乗り越えてようやく、スタートラインに立った。
取材・文=岡本朋祐、写真=桜井ひとし

4月6日の杏林大2回戦でリーグ戦初勝利を挙げ、ウイニングボールをうれしそうに手にする池田。佐賀の実家へプレゼントするのは、大学日本一を遂げてから、と決めている


大学球界における「好投手」の最低条件


 東京新大学リーグは2勝先勝の「勝ち点制」。つまり、1勝1敗のタイとなった場合は3回戦にもつれ込む。1回戦、3回戦を投げ切ってこそ「大学野球のエース」の称号を手にすることができる。開幕カード(対杏林大)の創価大は、2試合で決着をつけなければいけない事情があった。1回戦はドラフト超目玉で156キロ右腕の主将・田中正義(4年・創価高)が、NPB12球団47人のプロ関係者の前で3失点完投(8対3)。ところが試合前日、創価大・岸雅司監督に「3戦目が……」と相談を持ちかけていた。田中は右肩違和感で調整が遅れ、オープン戦は3イニング、5イニング、5イニング、7イニングと地道に回数を伸ばしていき、この開幕戦がシーズン初完投。万全のコンディションであれば中1日、3回戦の先発は問題ないが、さすがに疲労回復に不安を感じていたのだ。

 この“窮地”を救ったのが、高校時代からのチームメートである池田隆英(4年・創価高)だった。杏林大2回戦で、9回11奪三振2失点完投勝利(6対2)。7回までは1安打無失点も、2点リードの8回表に1失点。その裏、味方の援護により4点を追加してラクな展開となったはずだったが、9回表も1失点。なおも、二死一、二塁とピンチを抱えたが130球、最後は気力で逃げ切っている。

 創価大には147キロ右腕・秋元秀明(4年・三浦学苑高)というドラフト候補も控えていたが、岸監督に交代させる考えは一切なかったという。

「最近では大学野球も中継ぎ、抑えと分業制になってきていますが、学生の段階で『良い投手』に育てるには、先発完投できるレベルにないと。心身ともに強くならんとダメなんです。池田はウチに入ってきたときはギプス姿だった。大変な思いをして、野球をやっている。今日の1勝はうれしい」

 八木智哉(現中日)、大塚豊(現日本ハム)、小川泰弘(現ヤクルト)、そして田中正義と、創価大の歴代投手が通ってきた先発完投の美学。池田にも当然、覚悟があり「完投は最低条件。マウンドを譲るのは悔しいので……。今日は1球1球、投げ込む大変さを味わった試合です」と感慨深げに語った。苦節3年――。4年春にしてつかんだ、リーグ戦初勝利であった。

高校時代は背番号「1」、田中正義は背番号「8」


 決して大げさではない。池田は一度、地獄を味わっている。創価高時代、背番号1を着けたのは池田で、高校でも主将を務めた田中は四番・中堅(背番号8)という立場だった・・・

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