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逸材発掘!ドラフト候補リサーチ2016
才木浩人[須磨翔風高・投手] 強豪私学にも互角の投球

 

今春のセンバツ甲子園は兵庫勢で8強に進出した明石商高、21世紀枠で出場の長田高と公立勢が地元を盛り上げた。09年、須磨高と神戸西高が再編・統合して開校した須磨翔風高にはプロ注目右腕がいる。今夏は春夏を通じての、甲子園初出場を狙う。
取材・文=沢井史、写真=松村真行

母がハンドボール選手だったDNAを受け継ぎ、リーチが長く、手足も大きい。スケールの大きな投手として期待が集まっている


球速表示よりも打者が感じるボールのキレと伸びを意識


「お前はプロに行かないと、野球の神様に申し訳ないよ」

 高校入学直後、中尾修監督が才木浩人にかけた言葉だ。指揮官が「20年以上指導してきてここまでの能力の投手は初めて」と絶賛するエース・才木は、須磨翔風高の門をくぐった瞬間から、大きな期待を背負ってきた。中学時代は無名。須磨翔風高への進学を決めたのは、3歳上の兄が在籍していたからだ。

 中学入学時は162センチだった身長が中学3年間で20センチ以上も伸び、現在は187センチ。だが、成長痛に悩まされることはほとんどなかったという。手足の長さだけでなく、手のひらの大きさなど、すべてにおいてスケールが規格外。長いリーチを生かした投球で、スカウトから注目を浴びるようになる。今年3月、センバツ出場を控えた常総学院高(茨城)との練習試合では、5回1安打1失点と好投。プロの評価を決定的なものにした。潜在能力の高さを示す投球は、実は一昨年秋から県内では知られていた。母がハンドボール選手として大学(大体大)時代に日本一になった経験があり、類いまれなDNAが引き継がれ、「練習の姿勢もしっかりし、自分で考えて行動できる」と、指揮官はその人間性にも一目置いている。

 ただ、入学当初は体の線が細く、「食べても太りにくいし、少し動けば体重が減りやすいんです」と本人。冬場は走り込みで下半身を固め、3食の食事以外にも授業の合間に食するおにぎりを持参して体重アップに取り組んだ。70キロだった体重は現在は79キロへ。そして何より、才木の背中を押したのは同学年の右腕・中野克己に永井壱弥、山下聡の左腕2人を加えた3人のライバルの存在であった。

「自分よりも先にベンチ入りをしたのが、中野や永井と山下。3人とも入学したときから力はありました。自分はそのときはまだ練習は別メニューで、中尾先生(監督)からは『お前はもっと心と体を鍛える必要がある』と言われたので、負けたくない気持ちが一層、強くなったんです」

 投手陣の練習の中では、誰よりも多く、内容の濃い練習をすることにこだわり、チームメートが走れば自分も負けずにグラウンドに飛び出す。負けず嫌いの性格も手伝い、自らを“練習の虫”に変貌させた。

 1年秋には最速143キロをマークしていたストレートにも強いこだわりを持つ・・・

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