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中村奨成(広陵高・捕手) 侍ジャパンの正捕手以上の才能。3拍子そろった全国未出の大器|ドラフト

 

広陵高はこの2年、全国の舞台を踏んではいない。それでも昨秋の新チーム始動以降、プロスカウトが日参するのは、広島の名門校で1年夏から扇の要を任される中村奨成の存在があるからだ。もちろん、本人もプロ志望。まずはこの夏、広島を勝ち抜き、聖地で自らの力を証明する。
取材・文=坂本匠、写真=山口高明

1年夏からチームの司令塔を任されながら、ここまで甲子園出場はなし。最後の夏に懸ける想いは強い


甲子園未経験の代表候補。広陵史上No.1捕手


 日本代表候補30人に堂々、名を連ねる。今夏の甲子園終了後、9月1日から9月10日まで、カナダ・サンダーベイで第28回U-18W杯が開催されるが、6月16日にこのW杯に参加する高校日本代表チーム(侍ジャパンU-18)の第1次候補選手30人が発表され、早実の清宮幸太郎らに並び、広陵高で1年夏から正捕手を任されてきた中村奨成も選出された。1学年約50人、3学年を合わせると150人を超える大所帯の名門校野球部にあって、1年春からベンチ入り。同校を率いて27年の中井哲之監督も「ウチではほとんどないこと」と言う異例の大抜てきを受けた以降も、順調に成長を続けた身長181センチの大型捕手である。

 全国に目を光らせる高校野球ファンならば、“広陵の中村”の名前に聞き覚えはあるだろうが、とはいえプレーする姿を生で観たファンは、その1割にも満たないのではないだろうか。それもそのはず、春夏合わせて甲子園出場44回(優勝3回、準優勝6回)を誇る広陵高ではあるが、2014年の夏以降、全国の舞台から遠ざかっている。15年4月に広陵の門をたたいた中村は、まさに甲子園を知らない世代。レギュラーとなった1年夏は準決勝で呉高に、この後は1年秋=準々決勝(広島新庄高)、2年春=準決勝(崇徳高)、2年夏=準決勝(如水館高)とあと1歩、2歩のところで涙を流した。新チームとなった昨秋は準々決勝で再び呉高に延長10回の末にサヨナラ負け(2対3)でセンバツ行きを断たれると、春は県決勝で広島新庄高に敗れ(2対7)、中国大会進出もならず。今夏の広島大会開幕前の時点で、甲子園未経験の日本代表候補なのである。

 とはいえ広陵高は秋も春も圧倒的な優勝候補に挙げられていた。中井監督が「普通にやれば負けない」と絶対の自信を持つのも、同じく日本代表候補に選出されたエース左腕・平元銀次郎がいることに加え、扇の要に、1年夏以降のすべての大会を経験した中村の存在があるからだ。

「僕、あまり選手を褒めないんですが・・・

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