現代の野球は投手分業制が当たり前である。トーナメントの一発勝負の戦いが多い、社会人野球でリリーバーを務めてきた経験は大きな武器である。大卒2年目の本多裕哉は、ドラフト解禁年のチャンスを生かしたい。
取材・文=大平明、写真=黒崎雅久

投球の生命線はキレ味十分のスライダー

　長い腕を生かした右サイドハンドから最速145キロのストレートを投げ込む。

「社会人になってからウエート・トレーニングに積極的に取り組んで体重を増やし、スクワットなどで下半身を鍛えてきました。そのおかげで制球が安定しましたし、ボールも伸びるようになりアベレージの球速が140キロ前後まで上がったので、今は真っすぐ主体で投げられるようになっています」

　変化球はカーブ、スライダー、チェンジアップ、スプリットと一通りの球種を持っているが、「スライダーがキレているときは、良いピッチングができます」と話すように、生命線となるのはスライダー。右打者の外角にストレートとスライダーを出し入れし、セットポジションからテンポ良く投げて、打たせて取るのが持ち味だ。

　本多がサイドスローに転向したのは鹿島高1年の夏・・・