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第28回 奪三振王・江夏豊 vs 最後に意地見せた巨人

 

1年目からG打線とガチンコ勝負、2年目に鋭く曲がるカーブを習得して一気に!


 西本幸雄監督が阪急を初優勝に導いた1967年、同じ西宮市に本拠地球場を持つ(甲子園)人気チーム、阪神は4位に沈んでいた。64年の阪神優勝以後、“セ界”の覇権は巨人に移りV3。大エース・村山実に往年の力がなくなり、打線も盗塁数がリーグ最下位。本塁打数は下から2番目。機動力もパワーもない、困った打線だった。

 それでもトラファンは、あまり文句を言わなかった。江夏豊という素晴らしいサウスポーが入団。ほとんどストレート一本ヤリ。それでも12勝(13敗)。225奪三振はリーグ最多。59年の村山以来と言ってもよいスーパールーキー投手が登場したからだ。トラファンは江夏が巨人戦で力投すれば、それだけで満足だった。

 この年、江夏の巨人戦初登板は5月31日(後楽園)。村山が右手指の血行障害で3イニングで降板したあとを受けてリリーフ。そのまま9回まで投げて(自責点2)。4対3で勝利。巨人戦初登板初勝利の快挙となった。奪三振も5。以後、江夏は巨人戦に9試合登板。トータル2勝2敗だったが、内容は抜群で10月8日の巨人最終戦(甲子園)では14奪三振の完投勝利(5対1)。王貞治長嶋茂雄から1三振ずつ。2人にヒットを許さなかった。9月9日(甲子園)では敵の新エース・堀内恒夫と延長11回を投げ合って譲らず1対1の引き分け。11回に王に本塁打されたが、池田純一が打ち返して引き分けとなった。ともに19歳の投げ合いは、新しい時代の到来を告げていた。

 というワケで、江夏は阪神の希望の明星となって68年を迎えた・・・

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