週刊ベースボールONLINE


第34回 悲願の初優勝・広島 vs 全球団負け越し・巨人

 

75年の広島の街々は熱に浮かされていた。中日戦では観客乱入の大騒動


 1975年の9月以降、大阪と広島を往復する取材生活が続いたことがあった。古葉竹識監督率いる広島が球団創設以来、初めての優勝に向かってバク進し、西本幸雄監督率いる近鉄が、これまた球団創設以来の初「優勝」(つまり、2シーズン制の後期制覇)に向かって快進撃を続けていた。ということは、東日本の球団には用なしなのだ。で、大阪と広島を往復することになったワケだ。東京の会社に帰らなくて済むのだから、これはシメシメだった。

 それはともかく、広島、近鉄の万年Bクラスチームの躍進は、新しい時代の到来を告げると同時に、65年にドラフト制がスタートして10年。戦力の均衡化という所期の目的が達成されつつあることを感じさせた。

 結局、広島は10月15日、後楽園での巨人戦に4対0で快勝、初優勝。近鉄は、9月21日、西宮での阪急戦ダブル第2試合に3対0で勝って後期優勝。しかし、10月15日からの阪急とのプレーオフに1勝3敗で敗れ、悲願の初優勝はならなかった。広島、近鉄の優勝絡みでここに出てきた、巨人、阪急も、この年のキー球団となった。前者は、球団史上初の最下位に沈み、後者は、ついに初の日本一に輝いたのだから、やはり、75年は、時代の変わり目だった。時代は動き始めていた。取材しながらそれを感じていたし、いま思うと、その現場に居合わせたことは、実に幸運だった・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

「対決」で振り返るプロ野球80年史

「対決」で振り返るプロ野球80年史

「対決」軸から80年のプロ野球史を振り返る読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング