週刊ベースボールONLINE

 



今シーズンにジャンプアップが濃厚な、球界期待のホープを紹介する新連載がスタート。第1回を飾るのはDeNA北方悠誠投手。MAX158キロの剛速球を武器に、将来の守護神を期待されているプロ3年目右腕に迫る。

取材・文=佐野知香 写真=川口洋邦

ウインター・リーグで思いがけない収穫

手が多くメンバー入りしたDeNAの一軍キャンプ。2012年にドラフト1位で入団した北方悠誠もそこに名前を連ねた。中畑清監督が武器のストレートに注目しての一軍メンバー入りだが、過去2年間二軍戦で15試合しか投げていない北方自身にとっても驚きの抜てきだった。

 初めての一軍のキャンプは、最初はやっぱり気を遣ったりして緊張しましたけど、2、3日たったら慣れましたね。

 先輩方の投球はブルペンに入る時間が違うので見ることはできていないのですが、三浦(大輔)さんからアドバイスをいただいたりして、勉強になることが多いです。

 秋季キャンプで中畑(清)監督に評価していただいて、こうして一軍キャンプに呼んでいただきましたが、そのときはうれしさよりも、正直に言って「こんなに調子が悪いし、まだまだなのにどうして褒められたのかな」という思いの方が強かったですね。

 ただ、このチャンスを生かしたいという気持ちも強くわきました。

 秋季キャンプ後の台湾でのウインター・リーグは自分としても手応えがありました。

 過去2年間は僕のレベルが試合で投げられる段階ではなかったので、実戦で投げる機会はほぼありませんでした。

 だけど、昨年の終盤から徐々に二軍の試合に登板させてもらえるようになり、みやざきフェニックス・リーグでも登板機会をもらえて、そうやって実戦で投げた経験が台湾で生きたのではないかと思います。

 台湾での一番の収穫はフォークが使える変化球だと気付けたことですね。僕は調子が悪いと横振りになってしまい、ボールがシュート回転してコントロールが定まらないということがありました。

 それを見ていた中日の小笠原(孝)投手コーチから「フォークは投げないのか」と言われたんです。縦の変化球を投げることで、横振りを矯正するためです。

 僕は持ち球としてフォークはあったのですが、去年1年間は練習でも投げていませんでした。でもそこで投げてみたら、自分が思っていたよりずっと精度が良かった。

 小笠原コーチからも「すごくいいよ」と言っていただけたので、試合でも取り入れることになりました。フォームを矯正できるだけでなく、投球の幅も広がって、今後につながる出来事でしたね。

 自己最速の158キロもマークしましたが(12月7日、CPBL戦)、あの日は1イニングで5四球出してしまったり、とても調子が悪かった。球数もかなり増えてしまって、正直言ってどのボールで158キロを出したのか分からないんです……。

 球速は自分の調子とはあまり関係がないので、特にそれにこだわりたくはないです。160キロを期待されることもありますけど、それは“いつの間にか”記録できたらいいなと思っいます。

▲日々、リリーバーとしての大先輩である篠原貴行コーチ(右)からマンツーマンで指導を受けている



Baystars担当メモ

12年にドラフト1位で入団したものの「試合をつくれるレベルではない」と過去2年間はほぼ登板機会はなし。それが昨年の台湾ウインター・リーグで自己最速の158キロをマークし、ついにその才能の片りんを現した。まだまだ荒削りな部分は多分にあるが、その分伸びしろは無限大とも言える。この原石が磨かれていった先にどのような形でどのような輝きを見せるのか、その成長をずっと見守っていきたいと思わせる逸材だ。
NEW HEROES!!

NEW HEROES!!

今シーズンにジャンプアップが濃厚な、球界期待のホープを紹介する連載企画。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング